テインの新製品EDFC5の「躍度」制御が画期的! 試乗レポート(前編)〜説明会から凄かった!〜
2023/01/30 14:50
- CATEGORY : ニューパーツ
スポーツな躍度制御を考えてみました。オーバーシュートの制御を4輪で個別に行うのです。躍度に応じて、フロントのアウト側と、リアのイン側を硬くする。そしてフロントのイン側、リアのアウト側を軟らかくする。こんな制御をやってみました。どうなると思います?(笑)すると、圧倒的にインにつけるんです!
このスポーツな躍度制御は、圧倒的にインにつけるんです。目に見えて差が出ています。
最初に左に切った時はそんなに軌跡の差は出ていないんですが、右に切り返したときに向きが変わるのが早い。結構クルマの角度の違いがあります。その結果、明らかに軌跡が変わってきます。その差は50cmくらいインに寄せられています。同じ舵角を与えていくのに関わらずですね。
この制御でのクルマの車高を見てみましょう。
フロント外側は減衰を強く、内側は弱くした場合。黒線は車両の正面からみた車両の傾きのイメージです。外側はあまり沈まない。内側はだいぶ浮く。
リアは外側は弱く、内側を強く。外側はぎゅっと大きく沈み、内側は伸びずにあまり浮かない。
車両全体から見ると、前側の車高は上がり、後ろ側の車高が下がる。
これは角度でいうとほんの少しで、1度とか、2度くらいです。
これの車高の変化を横から見てみましょう。
旋回過渡期に車両全体から見ると、前側の車高は上がり、後ろ側の車高が下がるため、
前上がりのピッチが発生します。
この前上がりのピッチが発生するということは、バネ上の車両(上物)には、前輪には上、車両を持ち上げる力が発生します。車両の後ろ側には、下げる方向の力が生じます。
この反力として、タイヤに働く力を見ましょう。
反力として前輪にはより押しつけようとする力、後輪には少し荷重を抜くという力が働きます。これは一瞬起こります。旋回初期の時に瞬間的に。
というところで、ターンインの時はまず前輪が横方向の力を発生させるので、この瞬間だけ発生させてあげれば、ヨーが強くなります。
角加速度の比較になります。このスポーツ躍度制御のすごくいいところですが、
まず左旋回のところでパッと立ち上がっての部分はあまり変わらないように見えますが、とにかく収束が早い。定常への移行が早い。
そして切り返しで、明らかに差が出ています、角加速度の差とは、旋回回転させようとする力の加速度なんですが、9パーセントくらい変わってくる。これはヨー慣性モーメントで換算すると約9パーセントの低減と同じ効果がある。
おそらくシミュレーションでこれだけ変わってくれば、体感できるのではないでしょうか?
スリップアングルの比較です。車両の進行方向とクルマの向きの差です。
黒線が先に出てきた減衰4000で固定。赤線が制御したものです。
一般的にクルマの旋回速度を上げるほど、スリップアングルはつく傾向です。でも、制御したほうは同じ舵角でもスプップアングルが少ない。にも関わらず旋回軌跡は内側を走れる。過度にクルマの向きは内側を向かない。
姿勢が乱れないにも関わらず、旋回軌跡は内側を走れる。そういういい面が出てきています。
まとめです。
躍度を知ることで、旋回過渡か定常かを知ることができる。これを制御に活用するわけです。
そして躍度による制御で何ができるかというと、過渡のみダンパー制御をすることで乗り心地を犠牲にすることなく、ロール姿勢を制御でき、車両の旋回性能を向上させることができる。
ここでは触れられていないが、加速、減速時のピッチング姿勢も制御できます。
スポーツ性能だけでなく、車両の旋回性能の向上は危険回避などの安全性能にも寄与します。
以上が渡邉教授の説明だった。
新たにEDFC5に搭載された躍度制御に、スポーツドライビングに高い可能性を感じた。
スポーツドライビングにおいて、アマチュアはハンドルを切り遅れる傾向が多い。それで「どうしもてもクリップにつけない」ことが問題になる。タイムアップしたいなら、この制御はとても有効ではないか?
でも、個別に合わせた躍度の調整ってどうなるの? 難しそう?? EDFC5はAIによる自主学習機能が搭載されているというが?
実際の試乗記は後編に続く
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