【REVSPEED創刊30周年記念企画】世界に誇る日本のチューニング『ARMS 丸山淳一』編

2020/12/25 18:15

ARMS

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筑波スーパーバトルでは、シルビアや86などのライトウエイトFRスポーツを持ち込んで、木下みつひろ選手とのタッグにより、つねに好タイムをマークする。そんな丸山さんの提案は『ポストSILVIAチューニング』


木下みつひろ選手とのタッグで学んだ細やかなセッティングによるマジック

1968年1月生まれの丸山さん。最初に買ったクルマはAE86で、峠通いを楽しんだという。自動車整備学校から日産のディーラーに入社。PS13シルビアの自然吸気モデルを買ったが、非力でチューニングのベースには厳しく、180SXに買い替えた。ターボエンジンの加速力、ドリフトのしやすさなど、そのときからシルビアに対する丸山さんのリスペクトは始まっている。
就職前から「いつかはショップをやりたい」と思っていた丸山さん。ディーラーを辞めてからも、ショップでチューニングを学んだ。ATTKDオーテックやオートプロデュースBOSSに在籍していた頃もある。そして、30歳代になり、独立に至った次第だ。
「ディーラーに勤めてよかったと思うことがたくさんあります。店舗やクルマをキレイにしたり、丁寧な対応を心掛けたり、接客でお客様の話をよく聞いたり、それがいまも活きています」という。
最初は厳しかったが、そのうち、紹介が紹介を呼んで成り立つようになる。プレハブで狭かったが、来てさえくれれば、気に入っていただけるという自信があった。

『シルビア』へのリスペクト

手頃な価格のハイパワーFRスポーツとして、かつてのシルビアをリスペクトする丸山さん。デモカーは2012年に59秒660でストリートFR1クラスの最速に輝いている

クルマはS13、14、15とシルビアを乗り継いだが、デモカーをつくる余裕はなかった。しかし、全国のショップが、その日の同じ条件下で走る筑波スーパーバトルへの想いは募り、S15シルビアのデモカーをつくって、その翌年に出場が叶った。
「ドライバーは木下みつひろさんに決めていました。以前、勤めていたショップで乗ってもらったとき、考え方や的確なアドバイスに感銘を受けたので」
最初の年はクラス2位だった。1位がFD3Sで、シルビアはFD3Sに勝てないといわれていたので、とても悔しかったという。
「翌年は1分2秒、翌々年は1秒、その次は0秒と、毎年短縮していきました。木下さんと一緒にやることで、いろんなことが学べ、勉強になっています。カスタマー車両へのフィードバックも進化していったのです。もっとも、これでいいと思ったら、そこですべては終わるので、自分はまだまだだなと思う気持ちを忘れずに、木下さんの引き出しを開ける係を続けています」(笑)

カスタマー目線のオリジナル製品

サスキットやブレーキパッド、L.S.D.やオイルなど、木下選手との共同開発パーツをラインアップ。S15シルビア(6速MTターボ車)のリアメンバーカラーはメンバーの傾斜を解消するアイテム

純正ブレンボキャリパーとオリジナルのブレーキパッド。車高調キットもオリジナルだ。タイヤは245/40R17と265/35R18のventus R-S4を場合によって使い分けている

以前にも所有していたことがあるが、再び手に入れてしまったAP1最終型のS2000。AP2と同じ外観、9000rpmまで回る2ℓエンジンが魅力。いまのところ、ノーマルのまま、通勤に使っているだけだが、状況によってはデモカーの仲間入りを果たすかもしれない。タイヤはお気に入りのHANKOOK ventus V12 evo2を履く。乗り心地や静粛性、操安性、耐摩耗性に優れたハイパフォーマンスラジアルで、サーキットでもコントローラブル

ドライバーでタイムが変わると、パーツやチューニングの進化がわからないので、ドライバーは木下さん固定でやっているという。

そういった環境下で生まれる丸山さんの最新テクノロジー。新たに得られたデータや技術は、都度、デモカーやカスタマー車両に反映している。
ちなみに、同社はFR専門店のように思われるかもしれないが、ランエボやインプレッサ、スイフトなど、多彩な車種のカスタマーがいる。駆動方式による基本の考え方に違いはないので、それらにもしっかり反映されている。
作業の細やかさも特筆できる。パーツを取り付けるにも、ひと手間ふた手間掛けて、ちゃんとそれらが機能するようにする。
「車高でもアライメントでも、ちょっと変更するだけでフィールは大きく変わってくる。また、何でも交換すればよいというものではなく、ノーマルのほうがよい場合もあり、それらもタイムアタックで得たノウハウのフィードバックです」と丸山さんは語る。

NAエンジン車はエキマニを含む吸排気とECUチューンが施されるが、200ps、22kg-mにとどまる。カーボンの外装パーツにより、車両重量が1184kgとやや軽量なのが特筆できる。ターボ車はHKSのターボキットを備えているが、エンジン本体もCPのピストンやレヴォーグのコンロッドが用いられている。もっとも、排気量は2ℓのままだ。380ps と高出力で、そうなるとミッションも変更したいところだが、Hパターンにこだわる予定だ

そして、つねに探し求めているのが『ポストSILVIAチューニング』。チューンド・シルビアのテイストを86やほかのFRスポーツで実現したいと考えている。その最有力候補が86で、自然吸気とターボ化で近づけるべく、模索中。要は、もう少しパワーがあって、ミッションなど、もう少しタフであればよいのだが、丸山さんが満足するパッケージは、いまのところ見つかっていない。

アームズ

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