「2023シリーズチャンピオン 井口卓人 独占インタビュー」 GR86/BRZ Cup 2024 プロフェッショナルシリーズ Team Takuty・千葉スバル・東京スバル 合同体制発表会

2024/03/26 11:51

GR86/BRZ Cup 2024 プロフェッショナルシリーズ

Team Takuty・千葉スバル・東京スバル 合同体制発表会

 

 

2023シリーズチャンピオン

井口卓人 独占インタビュー

 

 

 

昨年以上のバックアップ体制

ゼッケン1のジンクスは⁉

 

3月11日、東京スバル三鷹店2階のSTIギャラリーで、Team Takuty・千葉スバル・東京スバルのGR86/BRZ Cup 2024 プロフェッショナルシリーズ参戦発表会が催された。2023年はチーム結成1年目ながら、チーム代表の井口卓人がシリーズチャンピオンを獲得。

 

 チームメイトの久保凜太郎も1勝を挙げ、シリーズ6位と健闘するなど、輝かしい戦績を収めたが、2024年も井口卓人の88号車改め1号車を東京スバルが、久保凜太郎の87号車を千葉スバルがサポートする体制に変わりなく、昨年に増して、より多くのディーラーメカニックが交代で現場に派遣される。

 

 

発表会は終始和やかなムードで、ゼッケン1のジンクス(久保凜太郎は86/BRZ Raceプロフェッショナルシリーズ制覇の翌年にゼッケン1をつけて……)が話題になったりしたが、「いわくつきのゼッケン1はSNSで行ったファン投票の結果でもありますので、東京スバル、千葉スバル、ディーラーメカニックの皆さん、ファンのみなさんとともに、Team Takutyの底力を見せつけて、凜太郎と一緒にシリーズ1位、2位を狙っていきたいと思います」と井口卓人代表はにこやかに締めた。

 

 


井口卓人インタビュー

 

昨シーズンの振り返りと

今シーズンに賭ける思い

 

2022年の残り2戦をレカロチームとして出られなくなって、でも、何とか出たくて、自身でエントラントライセンスを取って、凜太郎と2台、レカロから車を貸していただいて、出たのが人生の分かれ目というか、そこで自身でやる難しさとか楽しさとかを感じたんですよ。

 

 

レカロチームでレースを続けるという選択肢もあったんですけど、凜太郎と話す中で、僕は東京スバルからずっとサポートいただいていて、凜太郎は千葉スバルからサポートいただいていて、このワンメイクレースには両社とも凄く興味があり、やってみたいという思いがあったんです。

 

そこで、何とか形にできないかと、2年前の年末から2ヵ月くらいでバタバタいろいろ動きました。そのときはまだ1年間戦える予算がなくて、とりあえず、スタートはGOが出せるくらいでの船出だったので、ずっと不安でした。

 

 

スポンサー活動の裏では、凜太郎がチームのウェアやレーシングスーツのデザインとか、クルマのカラーリングなどのやり取りをやってくれていて、その点では、もう一人、僕がいるような感じで、僕はがスポンサー集めや挨拶に回っている間、ずっと凜太郎は裏で動いてくれていました。開幕戦が遅かったのもありますが、それで何とか間に合ったという状況でした。

 

 

開幕戦3位 第2戦優勝の

快進撃を支えたものは⁉

 

 

 

にもかかわらず、序盤から快進撃だったのは、アペックス(マフラーとサスペンション)やk-one扱いのプロジェクト・ミュー(ブレーキパッド)など、以前からおつき合いのあったところが、このレースに対して意欲的で、全部が本当に上手くいったという流れでした。

 

 

新たに協力いただいた企業もありまして、たとえば、ライバルチームですけど、チームを立ち上げますといったら、カバナでラッピングをやっていただきました。レースごとにいろんな企業にアクションを起こしたり、2戦目で優勝できたりしたことで、お金も物品も開幕戦からちょっとずつサポートが増えていったような、ありがたい展開になりました。

 

 

もっとも、それでもテスト不足ではあり、開幕の1週間前にもてぎでシェイクダウンして、開幕戦のレースウィークに突入。シーズン中のテストも多分1回とかでした。

 

キャリアが長い強豪がひしめく中で、すぐに勝てるわけはないし、苦戦するだろうなと正直思っていました。でも、蓋を開けたら、走り出しから行けそうな感覚が正直あって、1年目のアペックスもk-oneのパッドも本気で開発するという取り組みの中で、オフシーズンの間に僕が開発に携わらせていただいて、よいものができていました。技術力はどこのメーカーも凄いと思いますが、それを僕好みになってしまった部分もあるかもしれないんですけど、より扱いやすいもので戦えたのが、好スタートの大きな要因だったと思います。

 

 

BRZとGR86の市販車の開発には僕も少しだけ携わらせていただいた経緯があり、それぞれの特徴を理解したうえでアペックスのダンパーを備えて走ったときに、「これはBRZの乗り味をもっと上げられるアイテムになる」と瞬間的に思いました。

 

また、それまで僕が乗ってきたBRZは個体差からでしょうが、ストレートスピードにあまりいい印象はありませんでした。しかし、昨年はストレートも速くて、エンジンの当たり外れもあったかもしれませんが、マフラーの性能も影響したと思えます。

 

今季は決勝での強さに加えて

予選での速さを手に入れる

 

僕の持論なだけかもしれないですけど、クルマって全部が硬かったらダメだと考えていて、一発はよいと思うんですけど、それをどこかで抜いてあげることが重要なんじゃないかなと。それがサスペンションとBBSホイールの柔軟性とパッドの特性で、巧くできていた印象があって、予選の一発が出なかったのはその裏返しなのかもしれませんが、タイヤのパフォーマンスが落ちてくる中盤から後半に掛けて勝負できたことなど、決勝で強かったのは、そのおかげだと想像しています。

 

そんなわけで、今シーズンはそういったところを課題に、一発出せるようなセットだったりを試したい。そんなことをちょっと考えられたら、もっと強くなれると思っています。抜くのが大変な強豪ぞろい、実力伯仲のワンメイクレースですからね。

 

 

 

今季もチャレンジャー!

チーム一丸となってぶち当たる

 

3位、優勝と来て、だいたい前半調子がよいと、何となくずっと継続はできるので、変にチャンピオンを意識することもありましたし、逆にでき過ぎていて怖さのほうが多くて、何か落とし穴に落ちるんじゃないかなという思いで、その後のレースも戦っていました。まさか、最終戦であんな大きな落とし穴があるとは思っていなかったですけど、最終戦以外はとてもよいレースができ、その安定感がチャンピオンにつながったと自負しています。

 

最終戦ではフロントが全部壊れちゃいましたけど、東京スバルの鈑金部隊が1ヵ月掛からないくらいで直してくれて。東京オートサロンには展示もできましたし、その直後にテストに何回か行って、問題なく走れることも確認できました。エンジンを載せ換えたりもしたので、以前のフィーリングに戻すのは、慣らしとかも含めて大変だと思うんですけど。

 

ライバルはみんな速いですし、結構いろいろ大きな変化もあると思うので。ドライバーのメンタル面とかで、昨年の流れを断ち切らないようにしなきゃいけないと思っています。なので、最終戦のことは忘れて、その前までのよかったときを思い出しながら、また上位を走りたいと思います。

 

ドライバーはスポットライトを浴びて、凄く華やかな世界にいるように見えるんですけど、そのクルマを動かしているのはメカニックですし、そのチームを動かしているのはオーナーやスポンサーのおかげです。その方々に喜んでいただけないと次の年につながらない。チームを運営して、より一層、そのことを痛感し、チームの全員でモチベーションとして共有している次第です。

 

 

■東京スバルレーシング https://www.tokyo-subaru.co.jp/motorsport/

■千葉スバルレーシング https://www.chibasubaru.com/racing/

 

 

Photos/小林克好, 益田和久

 






  • Amazon特別プロモーション