マイチェンしたメガーヌR.S.でもニュルのタイムアタックは行うのか?

2021/06/14 10:10


 

 

電子制御の介入の少なさと

ドラテクレベルで区切った走行モード

 

 

編集部)

「ルノーのスポーツモデルがいいよね」ってよく聞くのは、電子制御の余計な(過剰な)介入がほぼないことにもあるといわれています。それは、車体側、操作側の両面です。

 

 

スポーツカーといれるモデルでも、サーキット走行ではわずか数ラップで水温などが上昇してしまい、保護のためにブーストを下げたりスロットルが全開まで開かなくなったりします。ラップタイムが極端に落ちてしまいますが、ルノーではアルピーヌA110もメガーヌR.S.も車体側の介入がなく同じように走れます(注:もちろん、ずっと全開を続けていいわけではなく、クルマのために自身でペースを管理する必要がある。逆にいえば「キミ、それは分かっているよね」というメッセージでもある)。

 

 

さらに、操作側においても、ESC(横滑り防止装置)はほぼ全カットになります。メーカーによっては、OFFにしてもつねに介入してきて姿勢を安定させたり、スロットルを閉じさせてしまい、スポーツドライビングをシラケさせてしまう要因でもあるのですが、ルノーはそういう邪魔な介入が入らない。最後までドライバーの裁量を残しておいてくれる。

 

 

このような点も愛好家に支持を受けていますが(最終判断は自己責任に委ねている)、会社の体制が変わっても、そのような味付けは変わらないでもらいたいですね。

 

 

佐藤氏)

走行モードには「ノーマル」「スポーツ」「レース」があって、「レース」では、基本的に安全関係のものは全部オフになり、ドライバーが自身でコントロールする。開発ドライバーのロラン・ウルゴンがいっているのは、なんで走行モードが3つあるかというと、「ステップを区切っているのは、運転が上手になってもらいたいから」ということなんです。

 

 

まずは「ノーマル」。ほどほどのレベルから介入してくるんで、「ここから先は限界が近くて姿勢を乱しやすいんだな」ということを知ってもらう。その領域内でうまく走れるようにになったら次は「スポーツモード」を試してみる。介入し始めるレベルが上がるので、ドライバーはさらに上の領域で攻めていけるようになりますが、最後の最後の危ない領域に入りそうになると制御が介入して教えてくれる。そうやってステップを切って行って、最後の「レース」はアシストなしでドライビングできるように、という狙いで3つ切っているというわけです。

 

 

編集部)

そこが多数のメーカーと違うところ。音が変わるだけとかではなく、高いドラテクレベルまでステップが切られているのが、ルノーらしいところです。

 

 

佐藤氏)

ルノースポールが何をしたいかというと、運転している人が、深いところまで楽しみましょうという領域に行かせたいがためなんですね。だから、最後の最後まで車が面倒を見ますという発想はそこにななくて、最後の最後は自身で運転するというのがゴールなんですよ。電子制御の介入の考え方も、向かっている方向が違うんですよね。

 

 

編集部)

スポーツドライビング愛好家から支持を受ける理由がわかります。こういった話を聞いて、ますますR.S.の姿勢が好きになっちゃいますね。でも、こういうことを聞いて喜んだり好きになるのは日本人だけ(笑)!?

 

 

佐藤氏)

R.S.の開発陣も日本人が好きですよ。なんで好きかっていうと、ユーザーもそうだしジャーナリストもそうだし車に強く興味を持っている。彼らを日本に呼ぶと、嬉々として来てくれる。ヨーロッパだと、「なんでこうなっているか」なんてあまりクルマの細かいところを聞かれることがない。でも日本では、我々も日本人だからわかりますが、なんでこうなっているかお伝えすることで、車に対する納得感というか、車に対する思い入れとか想いが高まって、それが購入につながったりする。だから、そういう質問をすると開発陣もとても喜んでしまって、「そういうの聞くの、ほんと日本人だけだから(笑)」って。

 

 

箱根ターンパイクも開発の舞台だった

 

佐藤氏)

スペックだけで横並びで見たときに、飛び抜けているわけではない。さらに馬力の大きい車はいくらでもありますし、もっと優れた車もあるんでしょう。しかし、こういうカテゴリーの中で、「こういうつもりでこういう車を作ったら、こういう風になりました。どうですか?」って提案している車はいまの時代にはなかなかなくて、そういうところを想いながら乗ると、いい方は難しいですけど、開発ドライバーのロラン・ウルゴンが緻密に緻密に組み立てていったものが垣間見れるんです。運転していてそういうところに通じたところでの面白みというか、そこがルノーに乗っていての醍醐味なんです。

 

 

たんに速く走るというよりも、「コーナーをクルって回る感じ」、「これをやりたかったんだよね」みたいなことがわかった時の一体感って快感なんですよ。そういうところを我々もお伝えしたいんで、ルノースポールの連中をしょっちゅう呼んで、話を聞いたりしています。あと、この箱根も、ターンパイクも結構走っているんです。「日本の車好きがみんなここを走るから、走った方がいいよ」っていって、帰国する飛行機の何時間前で時間がなかったんですけど、「じゃあ、行ってみるわ」って感じで。で、「日本のやつらはこんなところを走っているんか!こりゃおもしろいな」っていって、開発の要素にきちんと取り入れているんです。

 

 

編集部)

走り好きの気持ちを、本当にわかってくれているんですね。

 

 

佐藤氏)

そういうところを我々も伝えていきたいですし、そういう想いでつくっている車だってことの理由がわかるかと思います。

 

 

■ルノー・ジャポン https://www.renault.jp/

 

 

 

 

 






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