SUBARU/STI新型BRZスーパーGT参戦車両シェイクダウン取材会で、根掘り葉掘り聞いてきた

2021/03/24 17:20

2021年2月22日に富士スピードウェイにて行われた『SUBARU/STI新型BRZスーパーGT参戦車両シェイクダウン取材会』。レブスピードもメディアとして乗り込み、関係者に根掘り葉掘りあれこれ聞いてきた!! ここでは、その内容をみなさんにもお伝えしよう。

 

 

 

ワールドプレミアとなった新型BRZのフォルムを纏って登場! 空力向上など戦闘力アップの要因となったのか?

 

 

まずは2021年のモータースポーツ体制発表会の様子を紹介。スバルテクニカインターナショナル 平岡泰雄代表取締役社長より、新型GT300車両と今シーズンへの期待が述べられる。

 

 

スバルテクニカインターナショナル 

平岡泰雄 代表取締役社長 

「市販車のBRZがフルモデルチェンジするにあたり、GT車両もフルモデルチェンジします。GT300の車両規則は、市販車との関係性が重視されたレギュレーション。そのため、市販車の諸元、素性がいいことは、レースカーにもいい影響を及ぼします。BRZはライトウエイトで、コーナリングマシンという特徴をもっている。

STIはこの特徴を活かしながら、GT300の新型マシンの開発を進めてきました。新体制で、全レースでポイント獲得、シリーズチャンピオンを目指して、全力で戦っていきます」

 

 

小澤正弘「新」総監督

「今年のチームについては、全戦ポイントゲット、その先にはチャンピオンを見据えて、粘り強く、心をひとつに走れるチームをつくりたい」

 

 

チーム体制も発表された。2021年は小澤正弘氏が新たに総監督を担う。小澤氏は昨年までパワーユニットの責任者で、WRC参戦時はエンジンなどを担当してきた実績をもつ。ドライバーは引き続き井口卓人選手と山内英輝選手がコンビを組む。チーム運営は、R&Dスポーツだ。

 

 

井口卓人 選手

「新しい車両を見ていただいたと思いますが、カッコいいですよね! 新しいクルマは期待も大きいと思うので、それに応えたいです。余談ですが、妻と結婚して5年目、山内選手と組んで7年目。妻より歴が長い山内選手と、なんとか結果を出したい!!」

 

山内英輝 選手

「昨年は1勝もできず残念な結果に終わってしまいましたが、今年はしっかり結果を出して、これがスバルの力だということを見せつけて、ファンのみなさんの期待に応えたい。チャンピオンを取れるようにチーム一丸となってやっていきます!」

 

 

小澤正弘 総監督による新車両の説明

 

小澤正弘 総監督による新カラーリング説明

「ピンクで縦に入っているラインが、STIの魂が全体を通っていることを表しています。両脇のラインが水平対向を表しているという、まさにスバルらしいカラーリングとなりました。サイドビューも従来より躍動感がみなぎっております」

 

 

BRZのデザインが変わったことでのレース車両の空力の影響は?

「ベース車両のデザインが変わったことでの影響が大きかったのは、フロントのノーズの部分です。従来よりも尖って見えると思います。ベース車が変わったことで、空力的にも有利になっています」

 

「また、サイドビューにピンクのピックアップラインがあるんですが、ワールドプレミアされた新型車とこの部分の意匠も同様な形状となっており、極めてダウンフォースを稼ぎやすくなりました」

 

「さらに、サイドやリアフェンダー後ろにカナードがついているところなど、従来よりもダウンフォースを出す形で進化しています」

 

2021年型のメカニズム的な変更点は?

「パワーユニットはBOBやブースト規制で拮抗させているので、エンジン自体は変わりませんが、見ていただきたいのは、我々のクルマの進化です。

 

2012年にレガシィからBRZにスイッチした際に、そして2017年にはトランスアクスルに変更された際に、クルマを新しくつくって、セットアップに苦労してきました。

 

しかし、昨シーズン見ていただいたように速いマシンに仕上がっていたということもあり、我々も正常進化を狙ってクルマをつくり込みました。

 

大幅な変化は入っていませんが、これまでに気になったところ、もうちょっとこうしたら、というところを手を加えております。それはサードダンパーの位置とドライサンプのオイルタンクです。

 

 

小澤正弘 総監督が説明する新車両の改良点

「これまでに気になったところ、もうちょっとこうしたら、というところを手を加えております。それはサードダンパーの位置とドライサンプのオイルタンクです」

 

 

「従来はフロントのサードダンパーの位置が、(ターボ関係のパイピングのため)センターにありませんでした。これをレイアウトを変えて、サードダンパーをセンターに持ってきています」

 

 

「さらに、ドライサンプ用のオイルタンクが、従来はドライバーの頭の後方で、まさに頭上より高い位置にあった。重たいものが、重心の高いところにあったのです。これを、エンジンルームに移設しています。細かいところなんですが、我々がやりたかった形に仕上げたところを、見ていただきたい」

 

 

「さらに、ドライバーが操作する、ハンドルスイッチなども、クリック感などひとつひとつこだわって改良しています」

 

 

と、ここでエンジン始動。暖気からピットアウトの様子を以下の動画でチェックしてください。

(コース走行動画はないのであしからず)

 

新型BRZのスーパーGT車両のメディア取材会にて。ピットでの暖気運転からピットアウトの様子です。

 

 

シェイクダウン走行ではピットインを繰り返す。

井口卓人選手は何のセッティングをしていたのか?

 

 

シェイクダウン取材会において、主にステアリングを握っていたのは井口卓人選手。ピットインを繰り返していたのだが、何をセッティングしていたのか?

「最初はエンジンのチェックをやりながら、富士を全開で走ったときのフィーリングを伝えていました。

完全な新車ということで、剛性感が上がっているので、いい意味でもあるけれど、それが硬めに出ていました。路面の凹凸とか、縁石とかに対して、すごくクルマが暴れるところがあるので、減衰も弱めて、バネも柔らかい方向を試したりして、クルマの姿勢をどこがいい状態なのか探っているところで、いまは柔らかい方向を試してみました」

 

 

やっぱり新車おろしだと、剛性はすごく高いんですか?

「ダンパーもオーバーホールしてまだ動きがしぶかったりとか、いろんな要素が重なって硬めに出ていたので。それをいかに今までのフィーリングに戻しつつ、限界を上げていくかをチームとやっています」

 

BRZのフォルムが新型になって、操縦性に影響はありましたか?

「初めてパッと乗ったときき、昨年よりダウンフォースがちょっと増えているな、という感覚はありました。そこを活かしながら、限界値を上げていきたい。フロントが下がったぶんが効いているようですね」

 

総監督が変わりましたね

「実績のあるひとなんで、まったく心配ありません!」

 

 

 

井口卓人選手だけでなく山内英輝選手(右)にも、新車両について聞いてみよう

 

サードダンパーの位置変更は、操縦性にどのような好影響がありましたか?

「前までターボの配管が通っていて、サードダンパーを理想の位置に付けれなかった。それで設計上ずれていたんですが、それを中心に持ってくることで、ブレーキングのスタビリティとか多少よくなるんではないかということで持ってきていいます。

ただし、それまでその位置に合わせて設計されていたので、劇的によくなる度合いが高いというわけではありません。でも、少しずつでも、改善されているんだと思います」

 

BRZがライバル車両に比べて、レースで有利な点は?

「水平対向エンジンによる重心の低さで、ロールが少なかったり、それに起因するクルマの高い安定性が、いちばんの武器かなと思ってます。中速から上の域、高速コーナーとかBRZが一番得意としているところだと思います。エンジンパワーある車両が有利のコースもあるでしょうが、それ以外のところでは勝てるように頑張っているところです」

 

シェイクダウン取材会は無事に終了。最後にチームの記念撮影が行われた(下記はその際のフォトギャラリーコーナー)。

 

 

2021年のスーパーGT第1戦は岡山国際サーキットで4月10〜11日に開幕する。唯一、活躍するスバル車、新型BRZの活躍を応援しよう! (※STIの車載ライブ配信は、とても興味深いですね)

 

 

■スバルテクニカインターナショナル

 https://www.sti.jp/