【REVSPEED創刊30周年記念企画】世界に誇る日本のチューニング『KURUMADOH CUSTOM FACTORY 山田公輝』編

2020/12/25 18:13

KURUMADOH CUSTOM FACTORY

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成功も失敗もしてきた自身の豊富な経験をもとに、カスタマーひとりひとりの相談に応える。サーキット派からドレスアップ派まで幅広い客層に頼られる存在だ。飾らず、等身大でいながら、タイムアタックなどで結果は出す!


カスタマーそれぞれの好みや癖に合わせて乗りやすく仕上げるプロフェッショナル

「雪道を滑らせて走ったり、両親の運転が上手く、幼い頃からクルマ好きだった」と話す山田さん。バイクでは死ぬ一歩手前の事故を起こしてクルマに転向。高校卒業後は普通の会社に勤めていたが、自身でもクルマをイジるようになり、教えを乞うためにクルマドーに通うようになって、そこに転職。整備士の資格を取り、この支店を任されるようになって、チューニングカスタム部門をまるまる受け継ぐことになったという経緯。
ちなみに最初のクルマはR32スカイラインGTS‐tタイプM。当時はセッティングの意味も車高調のよさもわからず、ダウンサスでワンボックス並みに傾きながら走っていた。LSDを備えても速くならなかったり、ぶつけたり、壊したりで、サーキットの行きはよいよい、帰りは怖い、の繰り返し……、それでも懲りなかったという。

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幅広い客層が来店しやすく、和める空間を意識。敷居の低さがモットーだ。ビリヤードやライブもできる

「自身がよくも悪くもいろんな経験をしたことで、お客様ひとりひとりが何を考えているのか、どういう状況や段階なのか、よくわかるようになった」と山田さん。いまに活きる大きな財産である。
「つねにお客様にとっての乗りやすさを重視している。ひとりひとり、クラッチ操作やシフトチェンジ、ブレーキの踏み方、ステアリングの切り方にも癖があって、パーツを組み込む際は、その人にとってちょうどよくなるように調整する。そして、その人のスキルが上がれば、また、それに合わせた調整を施すが、自分としてはクルマ7割、腕3割というバランスが安全に楽しめる割合だと思っている。これが5割と5割ぐらいになっちゃうと、クルマが音を上げたときに危ない。クルマだけ、最初から上級者向けにしてしまうと、ダメなことが多い」という。

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かつて山田さんが東北No.1決定戦 業界最速クラスで公認車両最速タイムをマークしたS14 シルビア。現在は店舗の片隅で休眠

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90年代のちょっと前のクルマのチューンやリフレッシュ依頼が多い。取材日も180SXとJZX100チェイサーが入庫していた

独立前にS14シルビアで東北Nо1決定戦の業界最速クラスに出ていた山田さん。公認車検取得車両としては当時のSUGO最速タイムを自身のドライブで達成し、自信をつけていった。そして、井の中の蛙にならないために、筑波スーパーバトルに参戦。事前のセッティングは自身で行い、当日は柴田優作選手にいきなり乗ってもらうというやり方。自分が乗れて、プロも太鼓判を捺す。そんなつくり込みでの好タイムに価値を見出しているのだ。

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SK2ストリートマイスター2.4ℓスーパーチャージャー仕様

2ℓNAから始まって、2.2ℓNA、2.2ℓSC、2.4ℓSCと進化。現在は410㎰で、筑波のベストはセミスリックで59秒台。22㎏/㎜の硬いスプリングだが、10㎏/㎜台の市販のツルシなどより、よく動く足まわりだという。硬いバネをよく動かすのが秘訣。OS技研のデュアルコアL.S.D.とのセットでメカニカルグリップを稼ぐ。

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BRZターボ合法カスタマイズ車両

2018年4月からデモカーの仲間入り。最初はNAだったが、ターボ化により322㎰、40.0㎏-mを獲得。冷却や吸排気はトラスト製品でまとめる。車両重量は1294㎏で軽量化はいっさいしていない。筑波スーパーバトルではラジアルタイヤで1分2秒台の好タイムをマーク。街乗りも重視した完全合法仕様だ

「S2000は市販車で最もレーシングカーに近いということで、乗ってみたかった。しかし、わかってイジらないとノーマルより悪くなる。柴田選手も同じことをいっていた。仙台ハイランドでは危ないセットもいろいろ試して、事故ったり、普通の人なら挫折するようなこともさんざんやった」と山田さん。現在は2・4ℓのスーパーチャージャー410㎰仕様だが、タイヤのグリップに依存せず、よく動く足まわりとそれにマッチしたLSD(OS技研デュアルコア)のセッティングで、柴田選手の高評価を得ているとのこと。バネレートは22㎏/㎜だが、硬いバネをどれだけ動かせるかが、グリップを稼ぐポイントだと明かす。
BRZターボも同じで、保安基準適合のラジアル装着車ながら、SUGOを1分35秒台で走る。いずれも過給器を付ける理由は、一般の人の立ち位置で考えると、軽量化は難しいからだという。そして、詰め過ぎず、耐久性を重視。

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CVTのGD3フィットでカスタマーと耐久レースを楽しむ

スポーツランドSUGOの耐感シリーズなど、耐久レースをカスタマーと楽しむレース車両。CVTのラジアルタイヤ装着車だが、じつに楽しみながらドライビングスキルが磨ける教習車になっている。

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スタッフの鈴木幸子さん。スーパー耐久やKYOJO CUPに参戦歴あり。ドライビングはかなりの腕前だ。BRZをはじめ、同社のデモカーのテストドライブも担当する

普段は多くを語らない山田さんだが、コアな話がたくさん出てきた。しかし……、
「自分のような苦い経験をしてしまうと、若い人は続けられない。だから、速さだけを追求するのではなく、安全を重視して、誰もが長く楽しめる環境づくりに努めている。ウチのいちばんのテクノロジーはそこで、ひとりひとりの満足度に着目している」相互の信頼のうえに成り立つサービスの提供。簡単にできるものではない。

クルマドーカスタムファクトリー

岩手県奥州市水沢区佐倉河字前田13
TEL 0197-25-7895
https://www.kurumadoh-custom.com/






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