TRD、NISMO、MUGEN、STI 各社の最新デモカー&パーツを体感! ワークスチューニング合同試乗会より

2022/12/19 13:54

TRD、NISMO、MUGEN、STIの最新デモカーが一同に集まった。装着されているニューアイテムを試乗レポート。ファインチューニングながらも、ワンランク上の走りをもたらしているその効果をレポートする。

 

Photos/高松 弘 Text/石川大輔

 

 


MUGEN   フィットe:HEV RS

 

 

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レッドライン入りエアロでタイプRさながらの迫力

 

マイナーチェンジにともない、新たに追加されたフィットRS。スポーツドライビングを楽しみたいカスタマーには気になる存在だろう。無限が持ち込んだのはハイブリッドモデルとなるe:HEV RS。モーター出力は10kW(約14㎰)高められ、90kW(123㎰)を出力する。刺激的なパワーとはいえないが、アクセルの反応がよく、パワーを手中に収められる楽しさがある。

 

 

トピックはタイプRを彷彿とさせるエアロの追加だ。赤いラインが印象的なリップスポイラーやドライカーボン製のテールゲートガーニッシュなどを装着し、スポーティに仕上げている。足まわりはノーマルだが、17インチのMDEホイールを履いて運動性能の向上を図っている点にも注目。純正に対し1インチアップとなるが、それでもMDEのほうが1本当たり1.7kg軽い。つまり1台分で6.8kg。それだけバネ下の重量差があれば、タイヤの相殺分を加味しても走りへの影響は侮れない。試乗でもハンドリングのよさや直進性安定の向上が体感できた。機能性にこだわる無限らしいアプローチといえる。

 

フロントアンダースポイラーは、センターと左右の3ピース構成。カラード仕上げでは、センターはレッド、左右ピースはボディ色に塗装される。グリルガーニッシュも装着された。いずれもRS専用品だ。

 

ボディの一体感を高めるサイドステップはシンプルなデザイン。フロントリップ&リアアンダーと併せて装着することでボディの厚みが増し、存在感が高められる。

 

ディフューザー形状にレッドラインがプラスされる。その中央には無限ロゴが配置されているのもうれしいポイント。スポーティぶりが際立つ。

 

 

純正の上から被せて装着するドライカーボン製のテールガーニッシュ。RSをはじめ全車に装着することが可能だ。ツヤありブラック塗装仕上げのABS製も用意される。

 

ドアミラーカバーは上部にフィンが追加されているのが特徴。高速走行時の整流効果も期待できる。紫外線による色褪せを予防するUVカットクリアコート仕上げとなる。

 

リムにスピニング加工を施した17インチ鋳造ホイール「MDI」。タイヤは205/40Rのポテンザ・アドレナリンを組み合わせる。

 

 

MUGEN  ステップワゴン e:HEV スパーダ プレミアムライン

 

 

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走りの質感を引き上げるパフォーマンスダンパー®

 

無限が用意したもう1台はステップワゴンe:HEVスパーダ。ノーマルの意匠を尊重したエアロパーツにより、重厚感が高められている。足まわりはノーマルなのに、ほどよく車高ダウンしているかのような印象だ。スポーツマフラーによるサウンド効果もあって、普通に運転しているだけでも気分が盛り上がってくる。

さらに注目したいのは、ボディの微震動を抑制するパフォーマンスダンパー®だ。これにより走りの質感を高められており、しっとりとしたハンドリングが味わえる。上質なサスペンションを入れたくらいの違いがある。さらに直進安定性が高まっているのには驚いた。わだちのある直線を走っていてもハンドルの修正が明らかに少なくなっている印象なのだ。パフォーマンスダンパー®の追加により、足まわり本来の動きが可能になった証といえる。

ホイールはスピニング加工を施すことで剛性と軽さを両立したMDWの18インチを装着。スパーダプレミアムの純正17インチに対し、1本あたり2kgもの軽量化を果たしている。

 

スポーティなデザインのフロントアンダースポイラーと、サイドガーニッシュ、リアアンダーに加え、フロントマスクの精悍さを引き上げるグリルガーニッシュも装着。チタン製デュアルフィニッシャー採用のスポーツマフラーも追加された。

 

ボディの捩れを緩やかにすることで、乗り心地の改善や快適性の向上を実現するパフォーマンスダンパー。ミニバンならではの足まわりのバタバタ感も払拭しつつ、ドライビングの気持ちよさが高められているのが好印象だ。

 

 

小排気量&高出力エンジンのために新たにリリースされたハイパフォーマンスエンジンオイルMS-P 0W-30も展示されていた。モチュールと無限、HCMが共同開発した全合成油。0W-20指定のN-ONEやS660などでのスポーツ走行にも適したオイルだ。

 

 

 

STI  フォレスターSTI Sport

 

 

■ スバルテクニカインターナショナル TEL0422-33-7848 https://www.sti.jp/

 

 

微小舵を極めることで実現した

運転が上手くなるクルマづくり

 

 

STIが目指している“運転が上手くなるクルマ”。これを実現するためにフォレスターSTI Sportに装着されていたのがフレキシブルタワーバー&フレキシブルドスティフナー(前後)だ。ステアリングの切り始めの反応が遅れるのを極限まで少なくなるように入念なセッティングを施した。というのもドライバーはハンドルを切り始めた際の反応が薄いと、無意識のうちに切り足してしまう。そして必要以上にステアリングを切り過ぎて、舵角の修正を余儀なくされる。

 

そこでフレキシブルパーツにより、微小な操舵域から反応するようにチューニング。これにより内輪のタイヤが上手く使えるようになり、ドライバーの意図通りにクルマが動いてくれるようになる。思い通りにクルマが曲がっていけば、運転していて疲れない。ニュル24時間を走ったレースカーもそうした思想でつくられているそうだ。

そのほかこのフォレスターSTI Sportでは、空力性能を高めるエアロパーツや機能性を重視した車検対応マフラーなどを装着。スポーティでありながら質感の高い走りを実現していた。

 

今回はフレキシブルパーツの有無で走りがどう変わるか? パイロンコースでの比較試乗もできた。30km/hでS字を抜けていくのだが、たしかにイメージどおりに走りのが難しいノーマルに対し、STIパーツ装着車両はテンポよくスラロームしていける。思いどおりにクルマが動いてくれるので走っていて楽しい。

 

アルミの中空バーの中央部にピロボールを組み込むフレキシブル構造を採用することで、路面からの入力を適度にいなすフレキシブルタワーバー。路面の変化に対して車体の揺れが抑えられ、乗り心地を改善するのはもちろん、修正舵を減らすことにもつながる。

 

車体とクロスメンバーの間に装着。わずかな遊びやガタに対して適切なプリロードを与えるフレキシブルドロースティフナー。これによりドライビングに対する車両の挙動に一体感が生まれ、レスポンスのよい初期操舵としなやかな走りを実現する。

 

リアバンパー内部の車両後端に追加されるフレキシブルドロースティフナーリア。適度なテンションを掛けることで、シャシーのしなりを抑制。コーナリング中の安定感を向上し、4輪の接地性を高めることができる。クイックで素直な操舵フィールを実現する。

 

 

背が高いため高速走行時にふらつきがちなSUV。走行安定性を高めるべく用意されたフロントスポイラーはカナード状のサイドスポイラーとセンタースポイラーによる3分割構造。前後の空力バランスを整えるためにガーニーフラップ状のリアスポイラーも標準付属される。

 

走行風がボディ下部に流れ込むのを抑制し、リフトを予防するサイドアンダースポイラーを装着。また、ボディ側面を流れる走行風を整流することで車体を安定させるエアロガーニッシュ(リアドア)やリアサイドアンダースポイラーも装着する。

 

排気抵抗を25%以上低減。純正比で約3.3kgの軽量化を実現するスポーツマフラー。エンジンレスポンスが高まるだけでなく、スポーティなサウンドが楽しめるのも魅力だ。オールステンレス製の左右出しとなっており、テールエンドにはロゴも入る。

 

 

 

C-HR AP4 Powered by TRD

 

 

■ トヨタカスタマイジング&ディベロップメント TEL050-3161-2121 https://www.trdparts.jp/

 

タイで開催されるラリーで

シリーズ優勝に輝いた車両

 

 

ラリーを始めとする、幅広いカテゴリーに競技用パーツを供給しているTRD。今回のワークスチューン試乗会では本格的なラリー競技車両2台を持ち込んだ。

 

まずC-HRから紹介しよう。こちらはタイで開催されているRTTAでシリーズチャンピオンを獲得した車両。APRC(アジアパシフィックラリー選手権)に参戦可能なAP4車両規定と同仕様という。

徹底的に補強が張り巡らされた強靭なボディに搭載されるのは、最高出力272㎰を発揮するTRD-8ARユニット。レクサスISやクラウンなどに積み込まれる直4・2ℓターボの8AR-FTSをベースにTRDがチューニングしたものだ。マネージメントはLinkフルコンにて行い、ローンチやアンチラグ、フラットシフト制御も入る。トランスミッションはオランダのドレンス製5速シーケンシャルを組み合わせた。

車内には徹底的にロールケージが張り巡らされているが、車重は1350kg前後と軽量。今回は特設ダートコースにおいて助手席での試乗となったが、豪快にクルマを横に向けながらも圧倒的なトラクションでグイグイと前に突き進んでいくその走りに圧倒された。

 

 

日本屈指のラリーコンストラクターでクスコレーシングが製作するC-HR AP4。その心臓部に収められたエンジンは、8ARユニットをベースにTRDが専用チューニングしたもの。最高出力は272㎰、最大トルク48.9kg/mを発揮。レブリミットは6500rpm。

 

ラリー用サスペンションや機械式L.S.D.もクスコ製が組み込まれる。凹凸の激しいダートコースでも跳ねることなく、スムーズに走れるのが凄い。前後の駆動配分は5:5の直結四駆となっており、当然ながらタイヤはラリー用を履く。

 

FIA規定に準じたロールケージが組み込まれた車内は、徹底した軽量化が施される。シートは運転席、助手席いずれもブリッド製のカーボンシェルタイプ、ミッションはドレンス製の5速シーケンシャルを採用。ダッシュボード周りはオリジナルを備えていた。

 

 

 

 

TRD  HILUX DSESART RACE SPEC

 

 

 

■ トヨタカスタマイジング&ディベロップメント TEL050-3161-2121 https://www.trdparts.jp/

 

 

セミパイプフレーム仕様のレーシングスペック

 

 

ハイラックスをベースとしたオフロードレースの競技車両。アメリカで最も歴史のあるオフロードレース「MINT400」のクラス7で準優勝に輝いたこともある車両だ。

 

こちらもエンジンは8ARベースとなるが、さらに大きいタービンを組み合わせたハイスペック仕様。最高出力は407㎰、最大トルクは50N-mを発揮する。

 

もともと、搭載されていたディーゼルからガソリンエンジンに換装することで約100kgの軽量化を実現。セミパイプフレーム化されたシャシーにカーボンの外板パーツを組み合わせるが、それでも車重は2t近くある。この巨体が荒れた路面を駆け抜けるのだから迫力は満点だ。

 

ジャンプしたときに後傾姿勢で着地できるように、エンジンや燃料タンクなどの重量物はできるだけ後方に搭載。そうしてダンパーの有効ストローク量を増やしている。実際に、サスペンションの造りは堅牢で、なおかつダンパーは極めて長い。長い距離を走るレースなだけにコーナーでの速さよりも、起伏がある路面でも壊れずに走り抜けることが重視されるそうだ。その恩恵は、助手席での試乗でも十分に感じ取れた。悪路を走っているのにじつに乗り心地がよいのだ。C-HRとはまた異なる走りを体感し、モータースポーツの奥深さを感じさせられた次第だ。

 

セミパイプフレーム化したシャシーに積み込まれた8ARエンジン。最高出力400㎰以上を発揮するTRDチューンド仕様だ。レーシーにつくり込まれた競技車両なので身構えたが、意外なほどに乗り心地がよいのにはビックリ。荒れた路面を走っているとは思えないほど。

 

サスペンションのストローク量はたっぷり確保されており、なおかつ頑丈な造りとなっている。これだけ見ても、デザートレースの過酷さが想像できる。

 

 

トランスミッションはトルコン式のオートマチック。TRDオリジナルECUによるロックアップ制御を行うことで、高い耐久性と素早い変速を両立する。ATでないと大トルクに耐えられないという。

 

 

 

 

NISMO  X-TRAIL

 

 

■ ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル TEL 0120-846-423 https://www.nismo.co.jp/

 

 

e-POWER初となる
スポーツマフラーも注目!

 

4代目となる新型エクストレイル。e-POWERも第2世代へと正常進化。また電動駆動4輪制御技術のe-4ORCEも採用され、上質かつ余裕のある走りが味わ得ると評判だ。そんな先進性にあふれるSUVをニスモ流にカスタマイズを施したと聞けば、気にならないわけがない。

まず外観はフロントバンパー下部にリップスポイラーを装備する。純正バンパーに違和感なくマッチするデザイン性もさることながら、スーパーGTなどに携わるレースエンジニアも開発に携わり、空力解析まで行われているのもポイント。重心が高いSUVだからこそ、空力パーツのは恩恵も大きい。確実に効果が体感できる実践的エアロといえそうだ。

さらに注目したいのは、e-POWER車両初となるスポーツマフラー。モーターの発電機として機能するだけにマフラーが必要なのか? という議論もあったそうだが、オーナーの要望に応える形でリリースに踏みきったという。ともあれスタイル的にはやはりテールエンドがのぞいているほうが、クルマの迫力が増すと思うのは筆者だけだろうか。車格にあったジェントルなサウンドも、エクストレイルのキャラクターによくマッチしていると感じた。

 

カーボン柄にレッドライン&ニスモロゴのアクセントを加えた「バックドア&ウイングサイドガーニッシュセット」も装着される。手軽にスポーティな雰囲気を演出できるアイテムといえる。

 

ダウンフォースを高め、高速域での安定性を向上させる「フロントリップスポイラー」。ABS製でマットブラック塗装済みなので、そのまま装着できる。NISMOエンブレム付きだ。

 

フロントチューブとセンターパイプ、リアマフラーで構成される3分割タイプ。メイン50.8Φで、テールはオーバル形状のデュアル出しとなる。オールステンレス製で、重量は純正比-1kgとなる16.1kgだ。エンジン音が楽しめる!

 

存在感のあるデザインで好評を博している「LMX6S」に新型エクストレイルにジャストマッチする7.5J×19 インセット40が追加。武骨でありながら繊細な造形を併せ持つこのホイールは、リムにNISMOロゴを配したのも特徴。愛車をスポーティでタフな印象に仕上げられる。鋳造1ピースモデルだ。

 

 

 

NISMO  Fairlady Z

 

 

■ ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル TEL 0120-846-423 https://www.nismo.co.jp/

 

 

 

早くもスポーツECUを用意
あの人気ホイールもデビュー予定

 

早くも受注ストップになってしまうほどの人気ぶりのRZ34  フェアレディZ。ニスモの新型への意気込みは並々ではなく、早くもストリート向けのパーツを展開している。

 

 

注目は「スポーツリセッティング TYPE-2」。3000〜7000rpmの実用域で過給圧を高めたほか、高速領域の点火時期を見直すことで全域でフラットトルク化。さらにスポーツモードでは中低速域でのスロットル制御を最適化し、アクセルレスポンスの向上を図るなど、緻密なセッティングが施された。サーキット派にとっては、車速リミッターが欧州仕様とおなじ250km/hに引き上げられているのもうれしいポイント。

 

人気の鍛造3スポークホイール「LMGT」のRZ34サイズも開発中。落ち着いた色合いのマッドガンブラックカラーを採用し、スポーク部にはNISMOロゴがマシニング加工される。実車をご覧いただければわかるように、骨太な5スポークがRZ34によく似合う。

 

そのほかスポーツマフラーやブレーキパッド、カーボンドアミラーカバーなど、気になるアイテムが目白押しだ。

 

試乗車はATモデル。パワー感は十分でレスポンスも良好。微細なアクセルワークにもリニアに反応してくれる。その乗りやすさに舌を巻いた。スポーツリセッティングはNISMOパフォーマンスセンターで施工可能となっており、新車保証も受けられるので安心だ(1年2万km以内のNISMO保証となる)。

 

RZ34全車に対応するマフラーは、センターパイプ以降のフル交換タイプ。センターパイプ(65φ→50.8φ×2)とリアマフラー(60.5φ×2→110φ×2)で構成され、リベット留めのテールエンドにはロゴも入る。

 

 

 

開発中の鍛造ホイール「LMGT4」の19インチでは、新型Zに合わせたインセットを採用。タイヤとホイールのズレを予防するローレット加工も施される。純正タイヤを流用できるのも魅力。

 

スポーティなムードを演出できるカーボンドアミラーカバーも設定。手軽にドレスアップできるので、カスタマイズの第一歩にもオススメ。

 

ロースチール材となるブレーキパッドは、常温〜650℃まで許容するストリート向けモデル。ミニサーキットくらいなら対応可能だ。摩耗インジケーター付き。