タイムアタックのためにオリジナルホイールも製作!295/35R18を飲み込むクレイブFK8シビックタイプR

タイムアタックのためにオリジナルホイールも製作!

フロントに295/35R18を飲み込むクレイブFK8シビック タイプR

 

Photos/西野キヨシ Text/塩見 誠

 

このFK8シビック タイプRは、クレイブがカスタマーからの依頼を受けて製作した、タイムアタック車両だ。ベースとなっているのは前期型。クレイブはデモカーとして、マイナーチェンジを受けた6BA-FK8もあるのだが、そちらはまだ慣らし中で、シートを交換したのみのノーマル状態。このDBA-FK8をつくっていく中で得た知見も活かすことで、今後のチューニングに取り掛かっていく予定となっている。

 

こちらは新たにデモカーとして投入された後期型FK8。まだノーマル状態だ

 

 

では、このタイムアタック車両を紹介していこう。

 

まず目に付くエアロパーツだが、これはオートポリスでのタイムアタックを念頭においたオーナーの希望から装着されたもの。とくにフロントはFF車特有の加速時のトラクション抜けを防ぐため、空力を十分に活かすよう考えられている。エアロ装着前のシェイクダウン走行でのタイムは、ディレッツァZIIIを履いたオーナードライブで2分9秒台、クレイブの福元紀幸代表のドライブでは8秒台を記録。タイヤをアドバンA052としたときは、2分7秒台が出ている。そのタイムを更新するためのエアロパーツ、というわけだ。

 

 

車内もタイムアタック車らしい姿。内装はリアシートだけではなく、助手席まで外した、いわゆるドンガラ状態。ボンネットは軽量かつ、冷却にも効くダクト付きのカーボン製を装備する。

 

 

エンジンやタービンはノーマルだが、GTワークスのECU『GENROM』によってパワーアップ。現時点で390psを発生している。

 

そのパワーを確実に減速させるブレーキは、フロントにエンドレス製ブレーキローターとモノブロックキャリパーを採用。リアは電動パーキングブレーキとの兼ね合いから、パッド交換で対処をしている。

 

 

足まわりはスピリット製の車高調。これだけの大パワーのFFは、ともすると暴れてしまって走りにくいのでは、と思いがちだが『最終的にはトラクションの制御が入ってしまうため、踏んで行っても問題なく走ることができる』(福元代表)とのこと。

 

そのうえで注目したいのが、クレイブのオリジナルパーツだ。

大パワーFF車でマストなチューニングポイントとなるのが、タイヤの選択。、一般的な275幅ではなく、クレイブではフロントに295/35R18サイズをセットしたいことから、レイズに18×10.5J 42のVOLK RACING TE37 SAGA Sプラスを特注した。一般に販売されているPCD120 5HのFK8用サイズは、9.5Jまでのラインアップ。10.0Jや10.5J幅もあるのだが、そちらはインセットが34とか30という、FR車のリアタイヤ用となっているため、はっきりとフェンダーから出てしまう。その、通常手に入る9.5Jのリム幅では、295サイズのタイヤが活かしきれない、という判断から、オリジナルサイズを特注したのだ。

(写真は転がし用の275/35R18サイズのタイヤをセットしているが、タイムアタック時には295幅へと交換する)

 

 FK8に装着する際には、インセット設定の巧みさから、キャンバー調整をすればボディは無加工でいけるはず、とのことだが、この車両はセッティング幅を広げる意味合いもあって、フェンダー前部のウインカーから50mm程度の部分をツメ折りしてある。

 

 

 

 

また、サーキット専用車ということから、性能に振った競技専用マフラーも製作。純正は触媒直後のフロントパイプが細いという弱点を克服するため、オリジナルフロントパイプも含めたキットとなっている。パイプ径は、フロントパイプが70mm、中間パイプからリアマフラーまでが80mm。素材はステンレスで、音量はサーキットの音量規制に合致するものとなっている。価格は21万1200円だ。

 

さらに、これも大きな排気抵抗のポイントとなっている純正触媒を外すため、触媒ストレートパイプも製作。タービン側を100mm、フロントパイプ側を70mmとしたこのパイプをセットすると、純正タービンの能力をフルに発揮させることが可能となる。価格は7万4800円。

 

 

もうひとつ、FK8をチューニングしていくときに問題となる、冷却対策として、トリプルターン式のアルミラジエーターも開発中。すでにこのクルマには試作品が装備されている。上から下へと単に冷却水を流す構造ではなく、上から下へ流れた冷却水が再び上にいき、もう一度折り返して下へと流れるようにしたもの。そうすることで純正ラジエーターと同じ面積でも、より効率的に冷却水を冷やすことができるようになる。

 

もちろん、単純に同じ水路の大きさのままで折り返すと抵抗が増えてしまうため、このクレイブオリジナル品は、形状は純正と同じだが、厚みを増やして容量を増し、水路も純正品と変えることで、抵抗が増えないよう工夫されている。

 

専用のパイプも付属しているため、取り付けに際しての加工は不要。開発時のテスト走行では、純正ラジエーターでは軽く100℃を超えてしまっていた水温が、走行中は100℃で安定。クーリングラップではすぐに水温が下がってくれたそうだ。こちらは近日発売予定となっていて、予価は21万8000円+税となっている。

 

気温が下がってタイムが狙いやすくなる時期まで、あと数ヶ月。それまでに試走を重ねてセッティングをかためていく。タイヤはアドバンA052とA050を用意して、これまでの記録を更新していく予定。まずの目標は2分5秒台前半。それをクリアしたら、4秒台突入を視野に入れた、さらなるアップデートも計画しているそうだ。

 

 

 

■ クレイブ  福岡県北九州市小倉南区上曽根新町13-10 TEL. 093-471-1311 http://cleib9012.com/

 

 

 






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