ラジエーター/オイルクーラー/インタークーラー  DAIWA RACING LABOの高度なつくり込み

2025/08/21 10:29

ラジエーター/オイルクーラー/インタークーラー

DAIWA RACING LABOの高度なつくり込み

 

専用部材を社内でそろえての車種別専用設計

高精度の解析で得る受熱と放熱の好サイクル

 

 

大和ラヂエーターグループは1955年創業の老舗。その研究開発部門として発足したDAIWA RACING LABOはモータースポーツ用の冷却パーツを手掛けてひさしい。性能のアドバンテージを広げるべく、つねに研究が重ねられている。

 

大和ラヂエーターグループの杉本哲也代表に『よく冷えるメカニズム』を説明いただいた。効率よく熱交換させるのが、キーワードのひとつ

 


放熱の前に受熱が大事! たっぷり熱を奪って放出

 

DRL(DAIWA RACING LABO)のみならず、大和ラヂエーターグループのトップである杉本哲也代表に話を伺った。

 

DRL製品はラジエーター、オイルクーラー、インタークーラー、ラジエーター+空冷式オイルクーラーの『対』(つい)、ラジエーター+水冷オイルクーラーの『匝』(そう)をラインアップ。また、水冷式オイルクーラー単体も開発中だ。

 

まずはすべてを社内調達できる利点を活かしたモノづくりから。根本的に製品は、あるものを寄せ集めてつくるのではなく、「どういうふうにやれば、より効率よく冷やせるか?」を研究し、専用設計や専用部材を精力的に用いている。グループ全体でそのやり方を踏襲しているが、とくにDRL製品はフィンやチューブに至るまで、モータースポーツ向きの部材を選んで使っているのが特徴だ。

 

モータースポーツ用はラジエーターから始めているが、当初は『薄く』とか『軽く』とかをコンセプトに入れていた。もちろん、それらも大事なことで、優先し続けているが、そこから『無駄な部分をそぎ落として効率よく熱交換させていく』方針となってひさしい。

 

20年近く前から島根県産業技術センターで解析したデータを数値化させている。北九州工業高等専門学校と官民学で、風洞実験なしでも解析プログラムで放熱性能を割り出すことができるようにした。しかし、当初は乖離が出ていたので、そのプログラムの誤差を実験によって修正し、。ほぼイコールな状態にする計算ソフトの完成に漕ぎ着けた。それをDRLだけではなく、OEMなどを含め、グループ全体で活かしている。

 

スーパー耐久など、レースのサポートも製品づくりに活かすことができている。レースカーはクルマごとにクーリングの環境が異なるので、チームの要望に対して、実車を確認し、ニーズと実情を重ね合わせてつくり込む。ケース・バイ・ケースでの対応ノウハウは車種別専用設計で有効に働く。

 

周知のとおり、DRL製品はよく冷える。そのメカニズムに移りたい。温度変化の解析データを出していただいたが、青いところは温度が低く、黄色、赤となるにつれ、温度が高いことを表している。

 

放熱性能を割り出す解析プログラムは計算ソフトとの組み合わせによって、現実との乖離がないものに進化。赤い部分は高熱であることを示すが、それだけ熱を奪って放出しているということ

 

DRL製品は後ろ側が他社製品より赤かったりするが、冷やすためには、より熱い状態で出ていってもらう必要がある。赤いということは、それだけ熱を奪っているということで、それを可視化して、フィンやチューブ、コアなどに変更を加え、熱交換の効率を高めているのだ。

 

矩形(くけい)のフィンで接地面を増やしたりして、しっかり受熱させる。DRL製品は風が当たる前だと十分に熱を溜めている。温まりやすく、冷ましやすいのが『よく冷える』につながっている。

 

インタークーラーは空気の熱交換なので難しい。空気が流れるだけだと、肝心の温度を下げることができない。1対1にこだわって、温度は下げ、圧力損出を抑えたいとなったら、それにも中身を変えて対応する。

 

近年は水冷式の需要が高まってきた。熱交換効率がとても高いうえに、省スペース化や取り付けの自由度があり、工賃も抑えられる。いまどきのクルマは場所の確保が難しく、空冷式と水冷式で工賃を足したトータル費用が逆転するケースもある。

 

DRLにはラジエーターに水冷式オイルクーラーが備わる『匝』があるが、需要の高まりに応えるべく、セパレートした単体の水冷式オイルクーラーを開発中。水冷式インタークーラーもそうだ。

 


DRLラジエーターの特徴

 

FL5用ラジエーター 税込み価格 15万8400円

 

DRLラジエーターの特徴として、チューブとの接触面積を大きく取れる矩形(くけい)フィンを採用。隙間なく端まで刻まれる細目ルーバーは空気をしっかり取り込んで冷却効果を高める。0.25mmの薄いチューブは冷却水と外気を近づけることで放熱時間を短縮。36mmの薄型コアは軽量化と空気の抜けのよさ、無駄に水量を増やさないつくり込みで効率のよい熱交換を実現。もちろん、ボルトオン設計でワンオフ製作も可能。

 

GR YARIS用ラジエーター 税込み価格 23万6500円

 

 


DRLインタークーラーの特徴

 

FL5用インタークーラー 税込み価格 24万3100円

 

DRLインタークーラーは、アウターフィンとインナーフィンを内蔵するチューブの間隔を最適化している。互いの向きをクロスさせ、空気を垂直に交わって通すことで熱交換を促進。フィンの厚みは無駄を省き、軽量化を図る。丸みを付けた凸型チューブはアウターフィンに効率よく走行風を吸い込む。独自形状のプレートは極限まで抵抗を減らし、圧損を抑えている。

 

GR YARIS用インタークーラー 税込み価格 24万7500円

 

 


DRL『対』の特徴

 

GR YARIS用『対』 税込み価格 28万4900円

 

ラジエーターの放熱面積をコンパクトにして空いたスぺースに空冷式オイルクーラーをドッキング。両方にフレッシュエアを効率よく当てる。

 

 


DRL『匝』の特徴

 

Z34フェアレディZ用『匝』 税込み価格 21万100円

 

ラジエーターに水冷式のオイルクーラーを忍ばせたもの。空冷式より温度変化が緩やかで管理しやすい。始動時は水温の熱で素早くオイルを温める。

 

 


DRL空冷式オイルクーラーの特徴

 

空冷式オイルクーラー

 

コアには矩形フィンを採用。タンク形状は薄さを保ったまま高圧に耐えさせるべく、まるみを持たせた設計。低粘度オイル向けのU型と高粘度オイル向けのI型があり、それぞれさまざまなサイズを用意している。

 

 


DRL水冷式オイルクーラーの特徴(開発中

 

水冷式オイルクーラー

 

冷却水とオイルで熱交換させる水冷式は熱交換効率がとても高く、省スペース化もできるので、需要が高まっている。そこで、既存のラジエーターと一体型の『匝』とは別にセパレート化したものをつくっている。

 

 

 

 

■大和ラヂエーター製作所 TEL 082-509-0663 https://daiwaracinglabo.com/

 

Photos/今枝あき

 

 






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