阿部商会の「ビルシュタイン サービスバス」に潜入! B14新作サスキットの試乗インプレもお届け!!
2024/06/12 10:43
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阿部商会の「ビルシュタイン サービスバス」に潜入!
B14新作サスキットの試乗インプレもお届け!!
ビルシュタインの日本総代理店である阿部商会は、新たに「サービスバス」を導入した。
これまで千葉のBTC(ビルシュタインテクニカルセンター)にて行っていたダンパーの分解、組み立て、セッティング変更、計測などの作業が、設備が整ったこの移動式トラック内で可能となったのだ。
ここでは、サービスバスがお披露目されたイベントの模様と、ビルシュタインのサスキットが装着されたデモカーの試乗インプレッションをお送りする。
Photos/奥隅圭之 Text/橋本洋平,編集部
「サービスバス」公開当日の5月21日 富士スピードウェイ マルチパーパスドライビングコースでは、ビルシュタイン関連をはじめ、阿部商会が取り扱う多岐のアイテムが展示されていた。
いよいよサービスバス」に潜入!
ビルシュタインの足まわりを扱っている阿部商会は、タイヤ&ホイールからマフラー、そしてアイバッハのサスペンションキットなど、幅広く自動車用品を手掛けている。
その中でも、ビルシュタインだけは特別だ。日本の総代理店業務だけでなく、テクニカルセンターまでをも保有し、日本独自のセッティングを施した商品も送り出している。
それだけでなく、今回お披露目されたサービスバスを新規導入した。これにより、日本国内自動車メーカーがビルシュタイン製の足まわりを採用したいとなったとき、テストコースまで出向いてその場で開発や緻密なセッティングを行うことを可能にしている。
今回はそのサービスバスの中を見学させていただいたが、その空間はダンパーの分解&組み立てスペースや特殊機材、テスターの配置など、作業効率がよさそうに構成されていた。ずいぶんスッキリしているように見えるが、引き出しの中には、ピストンに積層される数々のシムをはじめ、内部パーツが整然と収まっている。
今回のお披露目会では、ビルシュタインのダンパーの分解の様子から、組み立て、計測の一連の作業をダイジェストで見させてもらった。企業秘密の部分も多く、作業の多くは写真NGで公開できない。しかし、ピストンやシムをはじめ、オイルやガスなど、ビルシュタインを特徴付ける精密なパーツの選択や組み付けのこだわりは実感できた。
グレーの丸いのがピストン。そのピストンの上と下にシムが積層されていて、それが伸び側、縮み側それぞれの減衰力を発生させている
シムなどは無数の選択肢があるが、対してダンパーオイルはなんと一種類のみという。市販車用からレーシングカー用まで同一というから驚きだ。これは温度上昇による粘度変化が起こっても、なだらかな減衰力の変化幅にすることが狙い。
オイルによる減衰力の追求ではなく、はじめから粘度の低いオイルを選択。基本的にシムの厚みや外径を変えたり積み方のノウハウで、いかようにも減衰力調整を可能にしているのがビルシュタインだ。
ガス圧については同一の数値ではなく、シリンダーやシャフトなどの寸法で違うという。減衰力が高くなってくると、より高いガス圧が必要になってくる。ただし、ガス圧はそんなに必要以上に高くしたくない。最低限必要な分を封入するそう。
今回は日本向けにセッティングされたコンフォートサスキットを中心に試乗するが、それがどんな乗り味なのか楽しみだ。
ダンパーテスターで、想定した減衰力が発生しているか調べる。まずはガス反力を測定してから、ロッドを上下に動かす速度が変わっていき減衰力をチェック
モニターに映された減衰グラフ。真ん中の黒い線を境に、上が伸び側、下が縮み側を示す。縦に振ってある数値が単位がニュートンで、どれくらい力を発揮しているか。横の数値がストロークしている数値。それぞれの数値でどれくらいの減衰力を発揮しているかわかる
サービスバス導入の狙い
阿部商会 代表取締役社長 阿部文保
「このサービスバス導入により、耐久レースの現場や、自動車メーカーの開発テストにおいても、即時のセッティング変更を可能にしました。また、ビルシュタインのネーミングを改めてアピールするために、大きくロゴを入れています。
今回はこのバスのお披露目会とともに、新しいサスキットを試乗してもらう機会を設けました。
このバスは、ゆくゆくは販売店さんにも赴いて、店頭でもセッティング変更できるようなことができるといいですね」
日本市場のみの「B14コンフォートスペック」や
電子制御ダンパー対応モデルも試乗
定評あるビルシュタインの『B14』サスキットとバネレートは同一ながら、日本仕様としてオリジナルの減衰力セッティングが施された『B14コンフォートスペック』。スポーティな走りと乗り心地を両立させた。
純正の電子制御サスペンションに対応したモデルも設定。走行モード切り替えスイッチに応じて減衰力調整も行える
ジャーナリスト橋本洋平の
試乗インプレッション
ABARTH 595
日本向けのB14コンフォートスペックを装着したこのアバルト595は、ノーマルサスとはまるで異なるしなやかさを発揮しているところが興味深い。リアの突き上げ感なく仕立てられているところは、日本の道ではかなり快適になりそうだ。けれどもキビキビとしたノーマルのよさが完全に失われているわけではないところが絶妙。ステアリングの切り始めがシャープすぎず、リラックスしてコーナーに飛び込める。その際、リニアに応答しているところが好感触だ。
F55 MINI Cooper S
こちらも日本向けのB14コンフォートスペックを装着している車両。基本的に本国仕様のスプリングを装着してはいるが、日本向けのショックアブソーバーはあくまでしなやかな仕上がりが特徴的だ。ミニらしいゴーカートフィーリングは影を潜めているし、リアの追従性も落ちているように感じられる。だが、突起の乗り越しはかなり良好であり、乗り心地に不満を持つユーザーが多いミニにとってはありがたいかもしれない。
G87 M2
今回唯一、本国仕様のEVO SEという足まわりを装着するBMW M2。これは車両に存在する電子制御式システムに対応したサスキットで、走行モードを切り替えた場合に減衰力を変化させることが可能になっている。短い試乗時間だったので、まずはハードなトラックモードから走れば、足はかなり引き締められ乗り心地はハード。キビキビとした応答性がたまらなく面白い。その後、ロードモードにすると今度は一気にしなやかに。これなら日本仕様を求めるまでもない快適性だ。
■阿部商会 https://abeshokai.jp/