Kansai SERVICEのブレーキチューニング「日常もサーキットも扱いやすいのはなぜ⁉」
2023/03/30 07:58
- CATEGORY : アップデート最前線
Kansai SERVICEのブレーキチューニング
日常もサーキットも扱いやすいのはなぜ⁉
Kansai SERVICEのデモカーは、ストリートもサーキットもブレーキフィールに違和感がない。自然に踏めて戻せて、じつにコントローラブル。鳴きも抑えられていることがほとんどだ。
同社のデモカーやカスタマー車両でサーキットを走る機会が多い、レーシングドライバー末廣武士も 「ABSが早めに介入してくることがなく、挙動も安定している。サスペンションやL.S.D.などとセットで、しっかり仕上げてあるので、安心して攻め込めます」という。
その秘密を向井敏之代表(写真右)に聞くと、以下のような答えが返ってきた。
「どのように仕上げるかは、走る場所や乗り方、装着タイヤのグリップレベルなどによって細分化されますが、大前提としてはABSが介入しにくいこと。いくら素早く制動力が立ち上がっても、ABSが介入すると制動距離は確実に延びます。また、注意したいのは重いクルマよりも軽いクルマで、ABSが介入しやすく、挙動も乱れやすい傾向にあります。無闇にブレーキを強化するのではなく、前後バランスを整えることと、適切な性能に高めることがポイントになります」
ちなみに、同社では、さまざまな用途、仕様、乗り方に応じてベストなパーツ選択、セッティングを提案できるよう、デモカーでデータ収集を行っている。ABSとの親和性やストッピングパワー&フィール、耐フェード性、適正温度域などに加え、ダストや鳴きといった部分まで確認しているのだ。
「たとえば、今回、鈴鹿で2分23秒886をマークしたBRZ(255/35R18のADVAN A052を履く)のパッドはProject μで、従来は前後ともHC+R3を装着していましたが、武士選手がアタックの際、プロの踏力で制動力を立ち上げると、シーンによってはABSが介入していました。
そこで、当日は初期制動を少し下げてコントロール性を高めるべく、フロントをHC-CSに変更。すると、攻め込んでも扱いやすさが増しました。また、HC+R3はワインディングからサーキットまでカバーできる守備範囲の広いパッドですが、現行のGR86/BRZでは、一般道の低速域で少し鳴く傾向にありました。それがHC-CSでどう変わるかも検証します。そのあとはHCシリーズの最新フラッグシップHCM1をテスト予定です」
キャリパーやローターの変更をともなう場合も走行テストを入念に行って、同様にパッドを合わせ込む。長年にわたるその蓄積が冒頭の「味わい」を「当たり前」にしているのだ。
■Kansaiサービス 奈良県奈良市小倉町1080 TEL 0743-84-0126
Photos/清水良太郎 Text/村田純也