ラズファクトリー FK8シビックタイプRで検証「ヘルパースプルングによる プリロードセッティングは、FF車のフロントにも有効か!?」
ラズファクトリー FK8シビックタイプRで検証
ヘルパースプルングによる
プリロードセッティングは、FF車のフロントにも有効か!?
Photos/益田和久,加藤智光 Text/勝森勇夫
ラズファクトリーFK8シビックでヘルパースプリングのレートを入れ替えて、谷口信輝選手が鈴鹿で操作性や乗り味の違いをチェックした
車高ダウンによるスプリングの遊びの解消や、コーナリング時のリバンドストロークを稼ぐ方法として用いられる「ヘルパースプリング」。このパーツには、さらにオイシイ活用法がある。それが、メインスプリングの反応性を高めたり、ダンパーの伸び側の減衰力をアシストしたりする、プリロード的な役割だ。
メインスプリングに直接力を加えるプリロードセッティングと異なり、メインスプリングのレートや、サスペンションの有効ストローク量に影響を与えにくいのが、ヘルパーを使ったプリロード調整の利点だ。
実走比較したヘルパースプリングは、「バネレート:2㎏/㎜、自由長:40㎜、密着長:25㎜」(右)と「バネレート:0.15㎏/㎜、自由長:70㎜、密着長10㎜」(左)の2種類だ。
このヘルパーセッティングの効果は、以前行った、ラズファクトリー86による比較検証でも明らかになった(詳しくはREVSPEED 2021年11月号を参照)。ヘルパーの違いが、トラクションやタイム差となって明確に現れた。
2㎏/㎜のバネレートをもった、MAQs製ヘルパースプリングは自由長40㎜のショートタイプ。プリロードセッティングには、短いバネほど理想。「セット荷重が小さくてすみ、微妙な調整がしやすいんです」とアライメントセッティングのマイスター、ラズファクトリー芳村さん
そこで今回は、「FF車のフロントでも同じく高い効果は得られるのか」をテーマに検証。比較したのは、2㎏/㎜と0.15㎏/㎜の2種類。いずれも1G状態では線間密着する(メインスプリングのレートに影響をきたさない)、ヘルパータイプに属するスプリングだ。ただし、後者はほぼバネ定数を持たず、スプリング自体にプリロード機能はない。まずは、2㎏/㎜。続いて0.15㎏/㎜に交換。鈴鹿サーキットにて谷口信輝選手が乗り比べを行った。
2kg/mmタイプはメインスプリングの下側に、ノンレートタイプはスプリングの上側にセット。テスト車両のフットワークは、エナペタルベースのラズファクトリースペックで、メインスプリングのバネレートは前後19.8kg/mmだ
テスト車両の車高調は一般的なネジ式調整タイプだ。テストは、極力同一条件同条件で。交換はフロントのみ。作業は現地で、メインスプリングやダウン量、アライメントなどはいっさい変えずに行った
谷口選手にはレートを入れ替えて2回走行したが、あえてどちらのレートでの走行か伝えないままのブラインドテストとしている。
1走目は2kg/mmのヘルパーでタイムは2’22.760。2走目は0.15kg/mmのヘルパーだが、こちらは途中でサクション系が抜けるトラブルありタイムの記録はなし。
以下は谷口選手のコメントだ。
「路面温度が低く、リアタイヤが温まりずらいためクルマ的には、リアがナーバスでステアリングが切りずらいオーバーステアという状況だったため、純粋にフロントだけの比較はできない。
気温が多少上がった2走目は、それが随分落ち着いたと感じたんだけど、今度はアクセルを開けたときのトルクアンダーが強くなった。リアがよくなったけど、逆にフロントは足りなくなった……みたいな印象。ま、駆動輪を中心に考えるならフィーリングが上なのは1走目。これはたしか」
テスト車両は、ミニサーキット照準でセッティングされたFK8。ヘルパースプリングをセットするだけでベストなフットワークが得られるわけではなく、ステージに合わせた綿密な調整は必要だ。ただ、FF車でもヘルパースプリングの違いによって、操作性やクルマの動き、トラクションに変化が出るのは今回のテストでもたしかなよう。上手く使いこなせば、フットワークセッティングの幅は必ず広がる。
テスト車両は、ミニサーキットをメインステージとしたライトチューニング仕様。とはいえ、パワーは360ps。ヘルパースプリングによるトラクションアップは、ハイパワーを活かしきるために有効なチューン
タイヤは、タレによる性能変化が少ないADVAN NEOVA AD09。サイズは前後とも265/35R18。キャンバーは前後4度半、トーは前後±0度のセッティングだ
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