【REVSPEED創刊30周年記念企画】世界に誇る日本のチューニング『G.T WORKS 寺崎 源』編
2021/01/06 11:45
- CATEGORY : コラム 創刊30周年記念インタビュー
G.T WORKS

かつてのD1ドライバーとしてのインパクトが強いが、G.T WORKSの寺崎 源代表は器用過ぎるチューナーであり、ECUチューニングのスペシャリストである。その稀有な能力は各車の潜在的な楽しさをセンスよく引き出す。大事なのは『理解度』だと彼はいう
内燃機に精通しているからこそできる辻褄の合うECUチューニング
小学生の頃の寺崎代表(以下 源さん)は機械が好きで、メカニカルな本を読み、敷地内をバイクで遊び、エンジンをバラしたり、4ビットのマイコンでつくったプログラムを雑誌に投稿したりと、すでに相当マニアック。
大分工業高校卒業後は東京に就職するが、すぐ地元に戻る。整備工場に勤め、26歳でGTワークスを立ち上げた。メンテナンスから各種オーバーホール、メカチューンまで、車種を問わず請け負う。
当時、4A‐Gはキャブチューンで対応。RBやSRが出てきて、ECUをイジれないと……という流れになってきた。そこでコンピュータチューンにどっぷり入り込んでいくことに。
4A‐Gもその後はECUチューンとなった。源さんといえば、D1ドライバーとしても知られるが、ドリフトでAE86では勝てないといわれ、ハチロク勢がターボを積む中、NAで上位に割り込んでいた。4スロ・ハイカムのフルチューンをこしらえ、ECUセッティングを施して臨んでいたのだ。

G.T WORKSの敷地面積は広大で、店頭には中古車も並べられている。ピットにはシャシーダイナモが備わり、奥にはエンジン室がある。旧車から最新モデルまで幅広く対応している
解析編集ソフトやチェックサム診断器なども開発していく。同時にOEMも増えた。なので、自社ブランドであるGENROMのラインアップにはないのに、源さん自体はイジれる車種もある。
ECU書き換えのほか、各種フルコンにも対応。アダプトロニックは中でも精力的に活用していたユニットだ。源さんのECUチューニングに関するアドバンテージはズバリ何だろう?
「理解度じゃないですか? セッティング自体は小学生でもできると思っているので……。このパラメーターは何なのか、中身をよく理解してイジっていると……。燃調と点火時期などは、コンピュータの仕事の10%くらいでしかないです。それ以外のパラメーターを、かなり以前からイジっていました。たとえば、AE86でさえ、アイドリングを安定させるのに、アイドル制御マップをイジる」
『キャン』や『フレックスレイ』など、車載ネットワークが進化して、ECUチューンが難しくなっていっても、源さんは理解度で立ち向かっている。

ECUはメイン書き換え、各種フルコンによるセッティングなど、自在にこなす。写真はアダプトロニック。エンジンOH、メカチューンの依頼も多いが、レシプロ、ロータリーともに新旧幅広く対応
「もうひとつ、理想のフィーリングというのはあるかもしれないですね。たとえば、バイワイヤだったら、どうしてもアクセルをガバッと踏みがちな人には、じわっと開くようにしたり、逆ならリニアに開くようにしたり、ドライバーの特徴にも、あるいはタイヤのグリップや足まわりのセッティングにも合わせ込めます」
エンジンチューナーでもあることは、それもアドバンテージなのだろうか?
「アドバンテージかどうかはわかりませんが、それは重要な気がします。内燃機がわかっていないと、データ(プログラム)で無理をさせてしまう。壊れる危険性は高まるでしょう。また、イジってよくなったと確認できるパラメーターを探すこともできない。なので、内燃機を知っているところに任せるのがよいと思います」
フレックスレイになって、内燃機の制御の比率も低くなっていて、それでもやっていくには、こんな規模ではだめで、海外のように大きな組織が必要と源さんはいう。しかし、それでも、仕方なく挑んでいる源さんの姿を想像せずにはいられない(笑)。

AP2はD1車両以来のデモカー。245/40R17のA052 を履き、寺崎代表のドライブでオートポリス2分9秒台。2019年の筑波スーパーバトルでは加藤寛規選手と一緒にASMのAP2で走った。以来、加藤選手をリスペクト

G.T WORKS デモカーのAP2 S2000
排気系はASMのEXマニ(TODA)とマフラー(SAC LAM)、SARDのスポーツ触媒で、GENROMセッティングが施される。レブリミットは9000rpmに引き上げている。オイルはPETRONASを使用。クラッチはK-TEC。内装は快適装備がすべて付いていて、シートはRECAROのASM仕様。サスはOHLINSベースの男気脚でHALスプリングのレートは前/後18㎏/㎜となっている。L.S.D.はOS GIKENのデュアルコアだ。完全車検対応仕様
さて、現在のGTワークスのデモカーはライトチューンのS2000(AP2)。源さんのドライブでオートポリスを2分9秒台で走っている。好タイムに貢献しているのはオーリンズベースのオリジナル車高調キット『男気脚』だ。4輪の接地性が高く、トラクションを稼ぎ出すフットワークチューンも源さんのお家芸であることを、つけ加えておきたい。
G.T WORKS
大分県大分市横瀬500
TEL 097-541-5228
http://www.gtworks.net
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