【REVSPEED創刊30周年記念企画】世界に誇る日本のチューニング『PROSHOP SCREEN 千葉 弘』編

2021/01/06 11:44

PROSHOP SCREEN

PROSHOP SCREEN

エンジンの組み方もECUチューニングもイチから学び、プライベーターから屈指のチューナーへ。ブレーキシステム&サスキットのメーカーであるD2 Japanの代表も兼任する。手掛ける車種のチューニングで、つねに先頭に立つために、設備投資も積極果敢! そんな熱い男の半生は、そのまま世界に誇れるものだ


「誰よりも先を進みたい」
筋金入りのチューナー列伝

母方の祖父が無類のクルマ好きだった影響もあり、千葉少年は小学校低学年の頃から、クルマ屋か重機屋になるのが夢だった。小遣いを貯めて、足りない分を祖父に出してもらって、9~10歳のときにはポケバイを持っていた。
中型免許を取ってからは、バリバリに改造したカワサキZ400FXやスズキGSX400Fなどで爆走し、スズキGSX400インパルスやヤマハRZ250などで峠を走っていた。
高校卒業後はスズキのディーラーに2年ほど勤める。DR30スカイラインRSを持っていて、初めてバラしたエンジンがFJ20Eだった。地元の走り屋の中心人物だった人にバランス取りやメタルの組み方を教わって、巴ピストン、ソレックスキャブの2.2ℓという当時定番のメカチューンをした。

PROSHOP SCREEN

その後は部品商に5年ほど勤めたが、26歳からは自宅でプライベーターに。1年後には隣にガレージを建て、28歳のとき、800psまで測れるダイナパックを買った。東北では最初だっただろう。ドラッグレース全盛の頃で、FJ、CA、L、RBなどひととおりフルチューン。4G63やロータリーもやっている。ECUは20歳くらいから学び始め、ベースデータを買って、ノーマルと比較しながら覚えていく。
ドラッグは21歳のとき、S130Zで11秒3のレコードをマークしていた。20歳代後半では、S13やS14でカスタマーとともに表彰台の常連に。しかし、全国大会では勝てなかった。2年目からは勝つことだけが目標。3年目、シルビアクラスで優勝を果たす。

PROSHOP SCREEN

タイムアタックやデモラン、各種テストには佐々木雅弘選手や前嶋秀司選手などのプロドライバーを起用。いずれもエンジニアリングに精通していて、デモカーのセッティングの進展やパーツ&メニューのスピーディな開発に貢献している

PROSHOP SCREEN

ECUチューニングは千葉代表のお家芸。サーキットなどの現場でもログを確認し、必要があれば書き換えを行う

サーキットにハマったのは2002年から。2004年12月には現在の店舗に移転している。仙台ハイランドでは佐々木雅弘選手との出会いがあった。2分フラットで走っていた千葉さんの500psのR34GT‐Rを、ドリ車の180SXが2名乗車で抜いていったのだ。佐々木選手とはそれ以来のつき合い。その頃、新たにつくったFD3Sのタイムアタック車両を皮切りに、スクリーンのクルマには彼が乗ることになる。
もうひとり、前嶋秀司選手は佐々木選手の紹介。ふたりはS耐で組んでいたが、Z33からZ34にスイッチした頃、Z34では勝てない状況が続いていた。千葉さんは予選用と決勝用のECUデータをつくり、勝てるようになっていく。前嶋選手は千葉さんを信頼し、マイカーのZ34を託した。本誌でもお馴染みの、あのクルマだ。

PROSHOP SCREEN

東京オートサロンをはじめとするショーへの出展やタイムアタックでの実力アピールなどにより、D2 Japanのブランドは広く浸透した

2011年、東日本大震災。やることがなく、電気も来なくて、でも、店を潰すわけにはいかないと思っていた千葉さんは台湾からのオファーを思い出す。ブレーキシステムとサスキットのメーカーであるD2が、スクリーンに代理店になってほしいというものだった。千葉さんは台湾に飛び、「製品に対する意見を聞いてくれるなら」という条件で契約を交わす。D2ジャパンの始まりだ。

PROSHOP SCREEN

D2 Japan製品の開発を精力的に行う

D2製品をスポーツランドSUGOなど、サーキットでテストし、アレンジを加えてD2 Japan仕様にアップデートする。パッドは国産であり、D2 Japan専売のサスキットもある

「買いやすい価格でいいものをつくりたかった。D2製品をテストして、アレンジを加えれば、それが可能だったのです」と振り返る千葉さん。そう、D2ジャパンの製品はアップデート版なのだ。
少なくともデモカーを持つ車種のチューニングでは人後に落ちたくない千葉さん。そのために贅沢はしないし、高級車もない。その代わり、「設備はウソをつかない」ということで、設備投資は惜しみなく、社屋には最新設備や機材がズラリと並ぶ。ダイナパックもすでに3台目だ。
筑波スーパーバトルや鈴鹿RH9走行会は自身が評価される場所と考えている。86もスープラも、そこではトップを獲りたいという。
技術面でもそう。目下の勝負でいえば、スープラのECUチューンは最先端を走りたい。なので、頻繁にサーキットを走らせ、あらゆる状況を分析する。
何とも熱いチューナーであり、スクリーン、D2ジャパンともども、世界に誇れる熱い集団である。

プロショップ スクリーン

宮城県富谷市成田9-1-17
TEL 022-348-3761
http://www.screen-powers.net/

D2 Japan

TEL 022-779-6512
http://www.d2japan.com






  • Amazon特別プロモーション