【REVSPEED創刊30周年記念企画】世界に誇る日本のチューニング『GP SPORTS』編

2021/01/06 11:34

GP SPORTS

GP SPORTS

エキゾーストマニホールドやフロントパイプなどといった排気系パーツのラインアップは豊富。サスアームを補強するための板など、地味だが走りに効果的なパーツをつくっているところにも注目しておきたい

排気系アイテムの開発をメインとしながら、サスペンションキットやサスペンションアーム、ブレーキシステムの開発などを行っているGPスポーツ。金属加工の街のメーカーという利点を活かし、自社工場以外の製造は国内メーカーに依頼することで品質を担保している。そのコダワリの製品づくりについて森孝弘社長に聞く


掛けるべきコストをしっかり掛けることがカスタマーの満足度の高さにつながってくる

新潟県の三条市と隣りの燕市は、金属加工で知られている。初代のiPodの背面ステンレスを美しく磨いていたのはこの地方の職人だった、という話である。
そんな三条市に本拠を置くGPスポーツは、金属加工の街にあるというメリットを活かした製品開発を行っている。
「GPスポーツの軸となっているのは、マフラーをはじめとする排気系アイテムの開発です」と語るのは森孝弘代表。
「マフラーは自社工場でイチから製造を行っています。新車が入庫したら、まず計測を行い、マフラーを製作するための治具をつくります。パイプベンダーを使ってパイプを曲げ、サイレンサーはひとつひとつ溶接をし、製造していきます。その丁寧な作業が、他社製品とは異なる美しさのもとと考えています」
実際に工場を見学することができたが、広い建屋の中に大型の工作機械がたくさんあり、溶接もひとつひとつ行われていた。
「海外製に切り換えれば生産コストを抑えられるのでは? とよくいわれます。しかし、実際のところをいえば、国内生産でも製造コストの違いは、それほど大きくありません。海外で製品をつくってもらえば、単価は下がります。しかし、海外製は、1ロットの数が大きい。国内生産の場合は、単価は高くなりますが、小ロットでの製造が可能ですので、販売がしやすくなる。

GP SPORTS

広い建屋を持つ自社工場には、パイプベンダーなどをはじめ、多彩な工作機械が並ぶ。テールパイプの溶接などは、職人の作業。丁寧にひとつずつつくっていくことが、美しいルックスを生み出すポイントとなっている

それらの条件を差し引きして考えると、海外生産と国内生産の、コスト面での違いがそれほど大きいものとはならないのです。しかし、GPスポーツが国内生産にこだわっているのは、それだけが理由ではありません。
まず最初に挙げておきたいのは、クオリティが異なる、という点。我々が販売する製品は、購入していただくカスタマーに、満足していただくことが大事だと考えています。それは性能面もそうですし、仕上がりの品質に関しても同じ。製品のプライスが安いから、性能や仕上がりもそれなりでいい、というのは、異なるのではないかというのが、我々の考えです。
さらにいえば、仕様変更や故障への対応などといった、カスタマーとメーカーのレスポンスも、国内生産のほうが遥かによくなります。実際に製品を使っていただいて気になったところの改善などが、国内生産であれば素早く行える。我々は売ってしまえばおしまい、ではなく、長くカスタマーとつき合っていきたいと考えていますので、ここが大事です」

GP SPORTS

車種によっては排気系をトータルで開発。エンジンチューニングにも対応できる性能を持ちつつ、車検対応品。自社製造ならではの、レスポンスのよい開発対応から生まれたアイテム群だ

GP SPORTS

GPスポーツの代表的なアイテム。ひとつひとつ手づくりされるマフラーはTIG溶接も美しく、工芸品の趣さえある。調整式のアームや車高調サス、ブレーキシステムなど、激しい走りにも対応するアイテムの開発も得意としている部分だ

マフラーを本業としながらサスペンションやブレーキシステムなども開発をしているGPスポーツ。そういった製品が国内で製造されているのは、背景にはそういう思いがあった。
「少しずつ、人と人とのつながりで関係を深めていき、製造をお願いしていきました。いろいろと無理を聞いてもらったこともあります。三条が地元だったからこそ、できることかもしれません。今後の製品開発においても、国内生産ということにはコダワリを持っていきたいと考えています」
その今後について。GPスポーツはこの先、どういったクルマをターゲットとしていくのだろうか。
「遠い将来の話をするなら、電気ということを考えておかなければなりません。しかし、それは10年とか15年とかという先の話です。それ以前に、まずはクルマというのは乗っていて楽しいものだということ、チューニングすれば、その楽しさがさらに増すということを、伝えていきたいと思っています。

GP SPORTS

広いピットスペースは認証工場となっているため、多彩な作業が可能。当然、車検対応で違法作業はなし。86/BRZやスイフトスポーツ、ノートニスモ、WRX STIなどといった現行モデルから、シルビア/180SXやマークⅡ/チェイサーなど、いまだに人気が衰えない昭和後期〜平成初期のクルマ用パーツもラインアップ

いまの若い人たちは、クルマの楽しさをあまりわかってもらえていないように感じています。そのため、我々にできることをやって、クルマは乗って楽しいものだよ、ということを伝えていければ、と考えています。具体的にはすでに、ZC33Sスイフトスポーツや、ノート・ニスモ用のパーツを開発しています。エントリー層が乗りやすい、コンパクトスポーツがターゲットということです。
また、ブレーキシステムやサスペンションなど、換えたことで違いがわかりやすいパーツの、対応車種も増やしていく予定です。それによって、チューニングは決して遠くにあるものではない、ということを感じてもらいたい。車種的には、コンパクトスポーツもそうですが、A90スープラや、もうすぐデビューするであろう新型の86やBRZ、フェアレディZもターゲットとして捉えています。もちろん、GRヤリス用のパーツも、開発する方向で現在検討中です。
マフラーでいえば、美しさと音量、音質といった部分で、カスタマーが納得するものをこれからもつくり続けていき、ゆくゆくはモータースポーツの世界を盛り上げていく手助けができればいいな、というのが、我々が願っていることです」

新潟自動車工業 ジーピースポーツ事業部

TEL 0256-36-7773
https://www.gpsports-gallery.com/






  • Amazon特別プロモーション