【REVSPEED創刊30周年記念企画】世界に誇る日本のチューニング『MCR 小林真一』編

2020/12/25 18:10

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各種オーバーホールやメカチューンなどの重作業まで、何でもこなし、協力パーツメーカーのテストドライバーも務める小林代表はログデータの収集と解析を、よりよいクルマづくりにフル活用!


進化を止めないマルチチューナーはログデータを先進的に使いこなす

日産車のチューナーというイメージが強いが、MCRの小林真一代表は車種を問わず、対応でき、パーツ開発のテストドライバーから、各種データ解析、コンピュータセッティング、レースエンジンの製作、メカチューン、各種オーバーホールなど、何でもこなすマルチチューナーだ。
最初に組んだエンジンはFC3Sのロータリー。お金がなく、自身でやるしかなかったという。R32GT‐Rが登場して、エンジンコンピュータもできるようにならないといけなくなって、しかし、背に腹は代えられなくて、やはり、それも自身で学んだ。
その頃から、何らかの手段で、ログを取るという習慣は身についていた。そして、理想のサスキットもなく、それも、ささやかなログと記憶を頼りに自分でやるようになった。

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『走るチューナー』として自社や協力メーカーの走行テストは自身でこなす。その頻度はかなりのものだ。スーパー耐久ではデータエンジニアを務めるが、テストでは自らも乗って、ログデータとの照合を行うこともある。プロ並みに走れるから意味がある

第2世代のGT‐R、S15シルビア、Z33/Z34、R35GT‐Rで日産チューナーの色を濃くしたが、パーツメーカーのテストドライバーを務めるようになったり、スーパー耐久のレース用エンジンを組む仕事が回ってきたりして、活動の幅が広がった。
スーパー耐久の現場にも足を運ぶようになり、チームのより細かいログデータを目にするようになると、ログを取る、ログを読むという能力が日増しに高まっていき、そして、いまや、レースではデータエンジニアを務めるようになり、サプライヤーのエンジニアからも一目置かれる存在になったのだ。
Gセンサーやキャンスキャナー、AIMやアイフォン、アイパッドなど、さまざまな手法でさまざまなログが取れ、遠く離れた海外でも遠隔操作ができてしまう今日、それらを駆使して、合理的にセッティングやチューニングを行うことがスタンダードになりつつある。

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Z34デモカー再び!

Z34の価値を見直し、2020年式のベースグレードを導入。排気系+ECUで50psアップ。エンジンとデフにはオイルクーラーを装着。サスはTEINのMONO SPORTベースで開発し、ブレーキシステムはENDLESSのできるだけ安価なセットをテスト。ABSのスティックは市販のスポーツABSに変更することで解消している。

「勘でつくる時代は終わって、ウソもつけなくなってきた。でも、やり出すと、そんなに難しくなくて、俺の場合、自分でも走るから、とくにそうですね。走っていて、ここ、もっと、こうなってくれればいいのに、と思うところを、降りてきて、ログを見ると、あ〜、こんなになっちゃっているんだぁ〜ということがわかる。それが楽しくもあり、やったことに対して、よくなった、悪くなったがハッキリするから、やり甲斐も高まるんです」
小林さんはタイヤ、ホイール、ブレーキ、サスペンション、LSDなどのテストにもログを活用する。クルマの電子制御デバイスが、よくも悪くも、走りに大きく関わるようになり、その都度の介入状況を知る必要が高まった。それを明確に把握したうえで、どうすれば悪影響を避けられるか、対策するという手順がセオリーになってきたからだ。
さて、MCRが手掛けたクルマは派手さがなくてかっこいい。あくまでストリートを主体に仕上げられていて、そのままサーキットを走っても、タフに楽しく走れるようになっている。

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R35の最新デモカーはNISMO 2018モデル

ブーストアップで700psオーバー。255/40 R20、285/35R20のPILOT SPORT 4Sと10.0J 41、10.5J 25のBBS RI-A Enginee red by NISMOを前提にサスとブレーキをチューン。協力メーカーのパーツ開発もこなしている

「歳を取ったせいかもしれないけれど、競い合う舞台がタイムアタックやチューニングカーレースからスーパー耐久などでの裏方の戦いに変わって、そっちはそっちで勝負できるから、自身でもお客にも、同じお金を使うなら、走るほうに使いましょうというスタンスになりました。走行料とガソリンとメンテナンスにつぎ込む。それが楽しいというお客が増えました」
カスタマーと連れ立って、袖ヶ浦フォレストレースウェイや富士スピードウェイを走る。ログを見ながらドライビングを検証して、楽しくタイムを縮める。
「そうすると、クルマを速くしたくなる。でもそれは、速く、ではなくて、もっとよくしたいという気持ちなんです」それがMCRのチューニング観。

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常磐道 柏インターチェンジそばの現ファクトリーは駐車スペースやピット、ショールームが以前より俄然広くなっている

エムシーアール

千葉県柏市大青田713-2
TEL 04-7199-2845
https://www.mcr-ltd.com/






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