【REVSPEED創刊30周年記念企画】世界に誇る日本のチューニング『O.Z Racing』編

2020/12/25 18:07

O.Z Racing

O.Z Racing

シルヴァーノ・オゼッラドーレ(Silvano Oselladore)とピエトロ・ゼン(Pietro Zen)がローバーミニでラリーに参戦するためにホイールを製作。この創業者のイニシャルから社名はO・Zとなった。来年で創業50周年を迎え、いまやF1やWRC、Moto GPなどトップカテゴリーを席巻。イタリア製で独創的なデザインを誇るO・Zは、市販ホイールでもこだわりの製法があった


鋳造だけでなく鍛造でもインナーリムの強度を上げる工夫

F1において全10チーム中の7チームが採用しているOZ。だが、その7チームすべてで装着しているホイールは異なる。一般的なメーカーは、1カテゴリーに向けて開発、供給しているホイールは一種類だ。そして、そのホイールデザインのニュアンスは、市販品のイメージリーダーとしてフラッグシップ化するのが通例である。しかし、OZではチームごとに秘密保守義務を結び、すべて独自にホイールを設計している。
市販品とは完全に切り離したOZの競技用ホイールは、カテゴリーを問わず、装着する車両のパワー、パッケージ、走行距離をはじめとして、徹底的に機能を追い込んで開発する。その最適解による性能を世界の一流が認めているわけだ。
OZの創業は1971年、来年で50周年を迎える。モータースポーツでの名声とともに、市販ホイールでも世界中にファンを持つ。
「世界にはたくさんのホイールメーカーがありますが、世界の国々でくまなく販売しているメーカーは途端に少なくなります。世界中で使われているということは、どの国の路面や条件でも耐え得る品質になっているということです」(オーゼットジャパン 内山晶弘代表)

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Rally Racingの新旧比較

OZレーシングを代表するアイコニックなラリーレーシングは、世界中の意見も聞き入れてデザインが進化されている。左は旧モデルの14インチ。右は最新モデルの18インチで、スポークがディスクに爪状が掛かった形状になっている

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学生フォーミュラ用も設定

世界で販売されている学生フォーミュラ専用ホイールで、Formula Studentとリムに描かれている。超軽量でマグネシム、アルミニウムを設定。上位チームの装着率が高い。OZでは特別価格で販売している

OZがリリースするホイールとなれば、高剛性で軽量な鍛造モデルに目が行くが、高性能な鋳造モデルのラインアップも充実。ここでは、あまり知られていないOZの鋳造製法について触れておく。
アルミホイールの鋳造では、型に溶かした素材を流し込んでいくが、OZでは剛性を高めたいインナーリム面を下にセットして重力によって「密度」を高めている。それに加えて鋳鉄を流したあと、型の内部に一定の圧を掛けることでリム部と同時にディスクなどの密度も高める。こうして素体自体を「強いもの」にしているので、通常の鋳造製法より肉厚を落とすことができ、結果、ハイレベルな強さと軽さが実現できる。

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YARIS GR-FOUR×RALLY RACING

まさにトヨタWRCラリーカーのルックスとなるラリーレーシングとのマッチング。装着サイズは18×8J 45で価格は6万1000円(税別)。カラーは写真のホワイトとダークグラファイトを設定する。タイヤは純正装着のミシュランPS4(225/40R18)

そしてさらにリムを押し延ばすフローフォーミング加工を施す。それでより鍛え上げているので、軽さと剛性をさらなる上の領域へと高めている。ちなみにOZでは鍛造の一部モデルでも、温めつつ同様のリム処理を行っている。
「ヨーロッパでは高性能車のカスタマーであっても、鍛造か、鋳造かには、あまりこだわってはいません。しかし、アウトバーンを200㎞/h以上でもブレずに走れるホイールはそうそうないことを、実感してわかっているのだと思います。そういった品質であることも、ブランドとして裏切らない信頼性のひとつだと思います」

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2021年初旬にヤリスGR-FOURに向けたSUPERTURISMO-WRCをリリース

上のRALLY RACINGはステージがグラベルをイメージ。対してターマックをイメージしたヤリスGR-fourにマッチングするSUPERTURISMO-WRCが2021年初旬にリリースされる。サイズは18×8J 40で、装着する大型キャリパーにも対応した設計。カラーはレースホワイト。価格は5万9000円(税別)となっている

デザインについてはイタリア製だけにスタイリッシュなものが多いが、モータースポーツでの活躍から必要な機能や性能を十分にイメージさせてくれるもの。たとえば上のヤリスGR‐fourが装着する『ラリーレーシング』においても、グラベルでのキャリパーへの石の喰い込みを防ぐ機能から生まれた形状だ。ひと世代前ではセリカに定番として装着されて、一世を風靡したスタイル。そして時代が移り変わり、ヤリスとのマッチングも興味深いが、ブランドを代表するこの伝統的なデザインも、爪状の処理をはじめ細かく変化してきている。デザインを継承しつつも、新しいニュアンスを加えていく。まさに、「伝統」と「革新」を垣間見ることができる。

オーゼットジャパン

https://www.ozracing.com/jp/






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