【REVSPEED創刊30周年記念企画】世界に誇る日本のチューニング『WinmaX MK KASHIYAMA』編

2020/12/25 18:06

WinmaX MK KASHIYAMA

WinmaX MK KASHIYAMA
ウインマックスはブレーキ関連のすべてのパーツを網羅する

ウインマックスを代表する3ブランドのスポーツパッド。itzzはラリーやジムカーナ、ダートトライアル向けに特化。走行会ユーザーから定評があるARMAは、タイヤや使用状況に合わせて多彩なタイプを選べる。Wシリーズは海外向けでゴールドがイメージカラー。大容量キャリパー&ローター、そしてブレーキホースも自社で展開。スラローム競技などのサイドターンで、確実なロックを約束するシューも設定。DOT規格を超えるレーシング高性能フルードも用意する

ウインマックスの母体であるエムケーカシヤマは今年で創業60周年を迎えた。ブレーキの総合メーカーとして、世界展開を図るグローバル企業ながらも、いまも人とのつながりを大事にしているのがポリシー。それはスポーツパッドの開発においても、契約対象が「チーム」でなく各カテゴリーでの「選手」であることからも伺い知れる


異なる国と地域で、幅広いカテゴリーの有力選手をサポートするファミリー気質

日本初でスポーツパッドの製造販売を行ったウインマックス。その母体であるエムケーカシヤマは、1960年に創業した。金属のプレス業からスタートし、スケート靴のブレードなどを製造していたが、1965年から自動車用のブレーキシューを製造。2020年で創業60周年。ブレーキの製造開発も半世紀以上の歴史を誇る。
創業者は樫山信(MK=マコト カシヤマ)さんで、現代表の樫山剛士さんは三代目。
「祖父は規模は小さくても、大手の下請けではなく、独立したブランドとしてやっていくことを社是としていて、創業以来アフター専業のブレーキパーツメーカーとしてやってきました。そうした中で、ウインマックスは『モータースポーツ専用のブレーキをつくろう』と始めたブランドです」(樫山代表)

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800℃を超える試験を行うベンチテスト

各地のサーキットのコースや想定される過酷な状況での走行データに基づき、実戦に即したシミュレーションによる負荷を掛けたテストを、ダイナモ試験機で行うことができる。ちなみにキャリパーは使用用途に合わせて変更している

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製造設備から自社で開発する

ブレーキパッドなどを製造する金型や製造設備まで自社設計開発しているのもウインマックスの特徴。ここまでイチからパッドをつくっているメーカーはそうそうない

ウインマックスが立ち上がった1984年といえば、土屋圭市さんがAE86で富士フレッシュマンレースにおいて6戦全勝の記録を打ち立てた年。当時、その土屋さんがウインマックスの開発ドライバーを務めており、その活躍とともにウインマックスの名が知られるようになり、またブレーキチューンの重要性が知れわたる。
その後、国内トップカテゴリーであるF3000でもトップシェアを誇るようになり、全日本ツーリングカー選手権や全日本GT、N1耐久でも、多くのトップチームが採用。2000年以降、国内ではラリー、ダートラ、ジムカーナ、スーパー耐久レース、ワンメイクレースのサポートに力を入れ、同時に海外では、WRC、WTCR、FIAドリフトなどの有力選手と契約している。
このようにチームではなく、選手と契約しているというのもウインマックスの大きな特徴だ。

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ヒストリックカーも展開する
トヨタ2000GT用パッドも

一昨年からは、ヒストリックカー用のパッド・シュー「エムケークラシック」も販売しており、さまざまなユーザーの声に応えている。写真はトヨタ2000GT用で、カーメーカーの純正パッド廃版品はハンドメイドによるワンオフ制作で対応している

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摩擦材のチョイスがパッドの性能を決める

原料解析と最適な配合技術を活かし、無限ともいえる組み合わせから、使用状況に合わせた最適な摩擦材を組み合わせる。これも経験とデータの蓄積の賜物。使用できる原料も時代の要求によって変わってきている

「自前のチームも持っていませんし、チームのメインスポンサーになることもありませんが、その代わり異なる国と地域で、幅広いカテゴリーの有力選手をサポートし、その選手を通してマーケティングしていくスタイルを採っています。選手とサポート企業というより、ウインマックス ファミリーとして、信頼できるドライバーと長くしっかりつき合っていきたいので、カテゴリーと地域はできるだけ分散させるように考えています。
カテゴリーもドライバーも違えば求められる性能も異なるので、それに応えていくのは大変なのですが、そのノウハウが当社の武器ですし、開発の面白いところだと思っています」と樫山社長がいうとおり、ウインマックスの最大の強みは開発力にある。
とくに摩擦材の研究開発は一貫して自社で行っており、独自の配合ノウハウを蓄積。またブレーキパッドなどを製造する金型や製造設備まで自社設計開発しているのもウインマックスの特徴だ。
ひとつのパッドには、15~20種の原材料が使われているが、日々新しい素材を研究テストすると同時に、かつてのアスベストや、現在の銅フリーやアンチモンフリー化のように、使用できなくなる素材もある。まさに、配合技術こそブレーキパッドメーカーの要。ウインマックスでは、50年以上にわたる原料解析と最適な配合技術を活かし、多彩な車種、カテゴリー、ドライバーにあった最適な摩擦材を提供してきた実績がある。

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複数個でのプレスではなく1枚ずつ製造するこだわり

バックプレートも自社製造。摩材を押し固める工程は、複数個を一緒にプレスすると、圧力の差により製品の状態にムラができてしまう。そのため、生産効率を犠牲にしてでも製品安定性を優先し、1枚ずつ製造しているのがウインマックスのこだわりだ

開発現場では、実際に使用するドライバーの評価を最も重視。近年で主力商品の『ARMA(アルマ)』の開発時に、各地のミニサーキットで一目置かれているハイアマチュアのドライバーをモニターに起用し、生の声を集めて味つけを施したことでも知られる。
本来なら創業60周年の大々的なイベントも企画されていたのだが、コロナ禍で中止に。しかし樫山代表はポジティブだ。
「人間なら還暦の年ですので、コロナ禍のおかげでいったん止まったことで、これからの60年をどうするか、再確認することができました。製品には自信があるのですが、PR面は手薄だったと反省しまして、WEBサイトをリニューアル。SNSも立ち上げ、山田英二選手ともアンバサダー契約を結びました。しっかりしたモノづくりは今後も大切にしつつ、エンドユーザーの皆さんともっと接点を増やしていく所存です」

エムケーカシヤマ
ウインマックスディビジョン

TEL 0267-67-7700
https://www.winmax.jp/

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スケート靴のブレードを製造していた

金属のプレス業からスタートしたエムケーカシヤマは、当初はスケート靴のブレードなどを製造。そのルーツであるスケート靴が工場フロントに展示されている






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