【REVSPEED創刊30周年記念企画】世界に誇る日本のチューニング『YOKOHAMA WHEEL』編

2020/12/25 17:57

YOKOHAMA WHEEL

YOKOHAMA WHEEL

タイヤメーカーのホイールで、これほどまでに世界に浸透したブランドはないだろう。ADVAN RacingとAVSからなるYOKOHAMA WHEELは『かっこよく見えるクルマ』に寄り添い続けている。トレンドに左右されない根っからの『かっこよさ』と『新しさ』。そのテクノロジーの源は何か? 横浜ゴム ホイール企画デザインCMPの萩原 修さんに聞く


チューニングフリークの最前線に立ち
そこから見える景色で欲しいものをつくる

AKEa MAX ORIDO YOKOHAMA STYLEのエアロキットを纏った織戸 学選手の86は前後のオーバーフェンダーによって片側9㎜ずつ張り出しているが(保安基準適合)、それでも一般には255/35R18と18×9・5Jインセット45がギリギリのサイズ。ところが、リアクオーターをカットして、10・0Jインセット35のアドバンレーシングR6を収めたのが上の写真だ。
「18×9・5JのR6はミディアムディープだけど、エクストラディープのR6を履いている僕のFD3Sを見ていて、86でもそれが履きたい人はいるんじゃないかと思い、10・0Jを提案してみた。車高をうんと下げて、キャンバーを思いっきりつけて……という人がね。そしたら織戸くんがリアクオーターを切ってまでして履いてくれて。それは車高もキャンバーも控えめで、僕の想像より正統派の料理法だったんだけど、このように無理気味の素材を渡して、あとの料理はどうぞ、というのが、YOKOHAMA WHEELのアイデンティティのひとつ。その最新例を見せたくて、織戸くんに86を持ってきてもらいました」と語る萩原さん。

YOKOHAMA WHEEL

エクストラディープのR6を履く萩原FD3Sと織戸86。そのグラマラスないでたちは圧巻だ

そして、織戸選手の同席には、もうひとつ、理由があったようだ。萩原さんのホイールづくりの原点、スーパーアドバンである。横浜ゴムのホイールの部署に勤めながらレーシングドライバーとして活躍していた萩原さん。当時のタイヤメーカーのホイールといえば、『パン屋がつくるケーキ』のようなものだった。それを『ケーキ屋がつくるケーキ』をパン屋で出すという気合でつくって大ヒットとなったのが、1990年代初頭に出したスーパーアドバンだった。
 一方、レースは全日本ツーリングカー選手権(グループA)でHKSのR32GT‐Rを駆り、93年5月のSUGOラウンドで優勝を飾るものの、それ以上、上には行けない気がしていた。

YOKOHAMA WHEEL
ADVAN Racingの原点 Oni

スーパーアドバンOni装着のS14シルビアは鈴木健夫さん所有のクルマ。まだ20歳代と若いが、父親の影響で織戸ファンに。スペアタイヤもOniを履いていた。当時、萩原さんのOni開発をノリノリで手伝った織戸選手。愛車のS14を提供し、坂東商会で萩原さんとふたり、キャンバー角度とインセットの頃合いを探った

「だったら、次はホイールの世界でトップ争いをしよう」と決めた萩原さん。その頃、手掛けた作品がスーパーアドバンOniだったのだ。そして、その開発に愛車のS14と自らの時間を提供してくれたのが、当時、坂東商会に勤めていた織戸選手だったというわけだ。Oniは『鬼キャンバー』に由来するネーミング。またもやチャレンジングな製品だったが、いまも語り継がれる大ヒットとなったのはいうまでもない。
 その後、AVSはモデル7やモデル6でヒットを飛ばし、RGを皮切りにアドバンレーシング・ブランドが立ち上がった。それからの躍進はいうまでもないだろう。すべてのホイールはオリジナリティと新しさにあふれている。
「自身がチューニングを楽しんで、その最前線にいて、そこから見える景色で、欲しいものをつくる。アイディアの源は一貫して変わりません」と萩原さん。

YOKOHAMA WHEEL

「Oniは飛び抜けた発想だった」と織戸選手。「不良だけど頭がいいヤツ」にたとえる萩原さんに「萩原さんぽい考えですね」と笑う

剛性/強度/軽さなどの性能は、デザインを洗練させていく過程で、察しがついていて、そこを突き詰めると、どんどんいい方向に転がっていくとのこと。その蓄積がYOKOHAMA WHEELの最新テクノロジーなのだろう。
「鍛造シリーズの追加は転機でした。以来、鍛造はデザインの再現性に努め、鋳造は鍛造に性能を近づけるトライができました。片方だけのアプローチでは、いまに至る進化は得られていないと思っています」とのコメントも。
 ところで、萩原さんといえば、『チューナーサイズ』。特別なサイズと捉えるが、萩原さんにとってはそれが普通サイズで先に決まる。ある意味、カモフラージュの言葉なのだ。

YFC

TEL 03-3431-9981
http://www.yokohamawheel.jp/






  • Amazon特別プロモーション