フィンランド生まれのノキアンタイヤのスタッドレスはひと味違う!!
ノキアンタイヤのスタッドレス
氷上も圧雪路も安心感の高さが光る
ノキアンタイヤはフィンランドのタイヤメーカー。フィンランドといえばF1とWRCどちらもワールドチャンピオンを輩出するモータースポーツの盛んな国でもある。北欧と呼ばれるその地域は大変に寒く雪深い。スタッドレスタイヤの性能が極めて要求されるフィンランド/ノルウェー/スウェーデン/ロシアでのプレミアムウインタータイヤ市場で最大のシェアを誇るのがノキアンなのだ。
1934年に世界初のウインタータイヤをリリースしたのがノキアンタイヤ。それ以来、冬用タイヤの性能向上に努め、開発費用の半分以上を実際のテストに費やすという、真摯な姿勢から生まれるウインタータイヤが人気だ。イバロにあるテストセンターはホワイトヘル(白い地獄)とも呼ばれる北極圏にある。広大な敷地内で徹底したテストが行われている。
実際ノキアンタイヤの売上の7割以上が冬用タイヤということからも、その力の入れようがわかるだろう。
日本でもBMW/ポルシェ/メルセデス・ベンツ/ジャガーランドローバー/テスラなどからも推奨タイヤに選ばれているが、この度、本格的にアフターマーケット向けに販売が始まった。取り扱うのは高性能輸入パーツを提供する阿部商会だ。
今回紹介するのはハッカペリッタR3。雪上/氷上だけでなくドライ性能と燃費に関わる転がり抵抗軽減をバランスさせるべくトレッドをデザイン。左右対称の回転方向指定パターンに行き着いた。センターエリアはブロックを集合させ、ステアリング切った時のスタビリティにしっかり感を持たせている。先代のR2に比べて合成を高めることでさらにハンドリングを向上。
左右対称のセンターブロックサイピングだが、構造には3種類のバリエーションがあり、剛性を高める。ショルダー部のサイピングのなかには突起を設けてショルダーブロック同士が支え合うようにし、剛性をアップさせている。トレッド面には2種類のコンパウンドを使用。外側がスペシャルウインターコンパウンドで、その下には剛性の高いベースコンパウンドを配置。溝が残り数mmになるとベースコンパウンドが現れる。4mm以下になるとスタッドレスタイヤとしては使用しないように推奨されている。
手応えが高く雪上でもアスファルトでも
グリップ感を強く感じられる
ハッカペリッタR3/R3 SUVで感じたのは氷上性能の高さ。R3をアウディA3でテストコースのツルツルに磨かれた氷上で30km/hからブレーキングをすると、R2と比べて確実にクルマ1台分ほど手前で停車することができる。停車直前に減速Gが抜ける感じもない。エクストレイルでテストしたR3 SUVでは、制動距離により顕著な差が現れた。氷上の安心感が確実に高まっている。
圧雪路では路面を掴んでいる感覚が豊富。路面状況の変化にも強く、雪の積もる公道で高い安心感を得られたのが印象的。アンダーステアになって走行ラインが外側にすっぽ抜けるような素振りがないので、自信を持ってドライビングをして、雪道を楽しむことさえできた。
これまでのスタッドレスタイヤとは異なる縦溝ではなく斜め溝を多用するアプローチの新感覚タイヤは、ドライバーの心に優しい特性を持っていると感じた。
さらにこのハッカペリッタR3を美味しく使う方法を聞くと、空気圧は車両の指定値より0.2kg/cm2ほど高めて使うのがいいのだという。そのほうがハンドリングがよく、燃費性能もよくなり、スタビリティもよくなりながら耐久性も上がるのだという。また、気温によって空気圧は10℃で0.1kg/cm2変化するので、低温になるほど空気を足したほうがいいということだった。
北欧での雪道の交通事故はアンダーステアになり、外にコースアウトしてしまうことが多いという。つまり横方向へのグリップを失うことが事故につながっている。そこで縦横のグリップバランスをよくすることでアンダーステア状態になりにくいように設計されている。日本の路面でもその性能の高さは強い安心感につながるだろう。
サイズはR3が14~21インチ、R3SUVは16~21インチの幅広いラインアップを持つ。
技術的ポイント
ウエットグリップは
ブロックのポンプ機能で高める
溝で水分を吸い上げて路面とトレッドを直接グリップさせるべく、ポンプ機能を持つようにブロックはデザインされる。これはR2でも採用されていたがショルダー部のみだった。それをR3ではセンターリブに配置。ウエットアスファルトでもアイスバーンでも高いグリップを得ることに成功した。
ブレード型のグルーブ(縦溝)は
シャーベット路面で威力を発揮
特徴的なブレード型のグルーブ。これまでのスタッドレスタイヤではグルーブを多数配置することが多かったが、ノキアンではブレード型のグルーブを採用。これによってアスファルトの上にシャーベットが乗ったような滑りやすい状況でも安定したグリップを得られるという。
特殊粒子を混ぜ込むことで
氷に食いつくコンパウンドを実現
細かく硬い粒子をコンパウンドに混ぜ込むことで、氷に食いつき高いグリップを発揮させる。その成分も改良され今回はクライオ・クリスタル3コンセプトを使用。金属ではなく環境に優しい成分だが、詳しくは秘密とのこと。
ビード付近は特殊コンパウンドで
高い空気圧を必要とせずリムと嵌合
ビード周辺に新しいコンパウンドを採用。必要以上に高い空気圧を必要とせずにリムと嵌合することができる。またノイズも吸収でき、快適性も高められている。
ウインターセーフティインジケーターで
どこまで使えるか一目瞭然
8・6・4と雪マークがあり、ブロックの高さが8mm以下になれば8が消える。それぞれが摩耗すると消えていき、雪マークが消えたら溝が4mm以下になったというしるしで、スタッドレスとしては使用できない。摩耗がひと目で確認できるパターンをセンターに配置。特許取得済みで、トレッド4箇所に配置されている。
インフォメーションフィールドで
空気圧をいくつで使っていたかメモ
サイドウォールには空気圧をいくつで使っていたか、クルマのどこに取り付けていたかをメモできるインフォメーションフィールドを用意。これで保管している間になにがなんだかわからなくなる悩みも解消。
阿部商会
http://abeshokai.jp/