気になる輸入車サーキットインプレ I in 袖ヶ浦フォレストレースウェイ 最新刊情報
2014/06/25 08:43
6速MT vs 8速AT
直接比較も実現!
BMW M235i
■BMW カスタマー・インタラクション・センター
フリーダイアル0120-269-437 http://www.bmw.co.jp
Photos/堤 晋一 Text/宇井昭典
2シリーズの頂点に君臨する
Mパフォーマンスの最新モデル
BMW2シリーズクーペ(F22)は、ハッチバッグが基本となる1シリーズ(F20)のクーペバージョンという位置付けで、いわば従来の1シリーズクーペのフルモデルチェンジ版。さらにM235iクーペという名称が示すように、通常モデルの220iクーペに対し、Mの呼称が付けられている。これはM3やM5等のMシリーズと、通常モデル(Mスポーツ仕様も含む)との中間に当たるグレード内容を表している。REVSPEED的にはM2と表現してもいいような車両であり、かなりスポーツ性能の高さを実感できる1台だ。先代の1シリーズクーペよりも、流麗なボディデザインとなっているのも特徴。その分、外寸は120iに比較して全長で100mm、全幅で25mm、全高で25mm大きくなっている。1グレードのみの設定で、6速MTか8速ATのいずれかを選択可能。サイズ的にはかつてのE46に近く、大きくなってしまった3&4シリーズよりも馴染みやすい。ただ重量的には軽くなったM3/M4に対して1.5t超と、軽さをウリにすることはできないのが残念。
伝統の直列6気筒をターボで過給
ミッションやフットワークにも最新の技術
エンジンはBMW伝統の3L直6、これをシングルターボで過給して、326ps/5800rpmのパワーと45.9kg-m/1300〜4500rpmのトルクを発生。滑らかさはレスポンスからも実感でき、ターボ効果で下から厚いトルクフィールを発揮する。ミッションは6速MT、または電子制御の8速スポーツATを用意。ATはパドル操作が可能で、シフトダウン時は自動でブリッピングし、回転を合わせてくれる。ちなみに、先日のニュル24時間レースに出場したM235iレーシングはさらにエンジンチューニングを施し、ABSやDSCもリファイン。L.S.D.を装着して、レース仕様の装備を施したものだが、8速AT車がベースになっている。メーカー公表の0-100km加速ではMTが5.0秒なのに対し、ATは4.8秒と速い。スポーツモデルといえばMTという先入観を否定するようだが、これも時代の流れといえよう。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式。電子制御でアクティブな作動を可能としている。ブレーキは220iクーペより大径化され、フロントは4POT、リアは2POTの対向キャリパーを装備し、パワーと重量に対応している。ホイールはフロント7.5J×18、リア8J×18のMライトアロイホイールを履く。タイヤはフロント225/40R18、リア245/35R18のポテンザS001のランフラットとなる。
あるべきところにある
各操作系の配置は伝統的に継承
コクピットを見ても、MTとATの差異は少ない。ステアリングに備わるパドルと、シフトレバー形状の違い、クラッチペダルがあるかどうかのみとなっている。インテリアそのものの基本仕様は同じ。革巻ステアリングやレザーのスポーツシートを備え、雰囲気をスポーツイメージで統一。サポート性を高めてはあるが、バケットシートのようなホールド感はなく、サーキットを走るなら交換したくなるだろう。もっとも、上質感や耐疲労性とのバランスで考えれば、かなりハイテクノロジーなシートなのだが……。
なお、MTとATでは車重が異なる。MTが1530kgに対し、ATは1550kgと、わずかにMTが軽い。試乗車はいずれもオプションの電動ガラスサンルーフが装備されていたので、それぞれ+20kg重くなっている。
センターのモニターはナビやオーディオ機能のほか、DSCモードの切り替えや状態などを表示可能。サーキットで必要なアイテムではないが、車両価格に見合った充実装備のひとつでもある。もちろんレザー張りのインテリアも同様の意味合いで、高級感をしっかりとアピールできるよう配慮されている。
編集長つかポン試乗レポート
あなどれない8速AT車
5月下旬の袖ヶ浦フォレストレースウェイで、6速MT車と8速AT車を同日走行比較することができた。試乗は編集長つかポンが担当。アマチュア等身大インプレッションと思っていただければ幸いだ。かつてはMTとATのタイム差は明確だった。しかし、その概念はもはや古いものでしかなく、連続周回を例外とすれば、すでにその差はほとんどないといえる。コーナーのボトム付近での車速こそ、MTがわずかに優位とロガーは示したが、外から見ていても直線での加速はATのほうがスムーズで速かった。当日の最高速はMTが165.8km/hに対し、ATは169.5km/hだ。ベストラップもMTの1分21秒824に対し、ATは22秒092と、コンマ3秒しか違わなかった。また、なぜか、AT車はMT車に対して、ブレーキをリリースしながら操舵していく際にノーズの入りがよかったのはドライビング的にも楽しかった。
いずれも試乗は『ドライビング・パフォーマンス・コントロール』を『スポーツ・プラス』にして、『DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール』をOFFにした状態で行った。が、サーキット走行の領域では、電子制御が介入やすく、介入しないように走らせようとしても、DSCによる失速を喰らうことが多かった。その症状はハイグリップタイヤや市販サスキット、市販ブレーキパーツなどに換えたときに、どう変わっていくのか? また、それらの選択やセッティングによって、どう介入を遅らせることができるか? 興味津々なところではあるが、この電子制御と上手く付き合ったチューニングをチューナーの方々には期待したい。
ちなみに、M235iはインフォメーションの高さやステアリングの応答性の高さから、サーキットでも全般に危うさを感じないため、ブレーキングも攻めていけそうな気がする。が、そこは重量と純正タイヤのグリップに限界があって、思ったよりは止まらないので注意が必要だ。しかし、それを差し引いても、純正装着のランフラットタイヤはサーキット走行への順応性も含めて高く、グリップ性能から快適性まで、多岐に渡り、走りに貢献していると褒め称えたい。