電スロ 直噴 協調制御対応の新世代フルコンピュータ「HKS F-CON V Pro Ver 5.0がもたらす、さらなる最適セッティング」ZN6/ZC6用に続きZN8/ZD8用や汎用キットもリリース予定
電スロ 直噴 協調制御対応の新世代フルコンピュータ
F-CON V Pro Ver 5.0がもたらす
さらなる最適セッティング
ZN6/ZC6用に続きZN8/ZD8用や汎用キットもリリース予定
待望の新世代モデルはZN6/ZC6用からスタート
きめ細かなセッティングと多彩な制御を可能とするが、果たしてその実力は!?
スーパーチャージャー仕様AT車のHKSデモカーと
ターボ仕様MT車のヤシオファクトリー号での検証をレポートする

HKS F-CON V Pro5.0とZN6/ZC6専用ハーネス

純正ECU置き換え式のF-CON V Pro5.0(33万円)とZN6/ZC6専用ハーネス(11万円)。中央はパソコン用通信アダプター。すべてF-CON V プロパワーライター店限定取扱商品で、別途取り付け工賃やセッティング費用が必要
純正ECUを取り外す
完全置き換え式が実現
HKSのZN6/ZC6用FコンVプロ5.0は、純正ECU置き換え式のフルコンピュータだ。 電スロ、直噴式、可変バルタイ、車両協調制御への各対応など。FA20エンジンを駆動するための、まずは基本となる機能が備わる。
前期型か後期型か、6速MT車または6速AT車か、ノーマルのNAエンジンか、ボルトオンのターボやスーパーチャージャーか。すべてのグレードに、5.0はチューニング内容を問わず応える。
その完成までには長い道のりがあった。新たなVプロに何を求め、仕事をさせるか。ソフトウエアの構想から入り、コンピュータ上で疑似的なVプロ5.0をつくり、机上シミュレーションが繰り返され、そこからハードウェアもできあがった。もはや、自動車メーカーの開発手順に近い。

エッチ・ケー・エス
開発部エキスパート
大庭典子
「制御の解析にも時間を掛け、高機能の5.0が完成しました。理想とするセッティングができます」
車両協調制御もZN6/ZC6について、HKSが独自にイチから解析している。6速MT車だけでなく6速AT車への適合の裏には、並みならぬ作業量がある。 多数の成果から純正ECUベースのセッティングに比べて、細かな制御の補正が叶う。高出力化では、純正ECUUで起こり得る制御がらみの頭打ちを打破できる。
チューナーにとってはエンジン始動と走行までの設定が従来のVプロより短時間で済ませられ、仕様に合わせた各マップの作成も取り組みやすくなった。

エッチ・ケー・エス
取締役営業本部長
坂詰達也
「純正の制御の限界が、出せる性能の上限になっていた。チューニングの進化には細かな制御の補正で頭打ちを打破できる5.0が不可欠」
エンジン制御を見ながら
現車合わせが行なえる
HKSのFコンVプロパワーライター店には5.0内部にセットするZN6/ZC6用ベースデータが提供され、チューナーが必要なマップ、パラメータを専用ソフトのパワーライターで調整する。ヤシオファクトリーのターボ仕様も、岡村和義代表が合わせ込んだ。

ヤシオファクトリー
代表取締役
岡村和義
「ベースデータを俺の考えで調整し、スロットルも合わせたら、凄く乗りやすくなった」
具体的な話をすると、エンジン制御は純正のエアフロ式はもとより、過給器搭載でのハイブーストの許容に圧力式への変更や、ふたつの制御の併用も可能になる。
現車セッティングでは5.0本体にパソコンをつなぎ、各マップのアクセスが燃料噴射なら直噴、ポートともに画面上で確認できる。そのまま数値の書き換えも行なえ、大容量のロギング機能も併せると、データ構築の精度が高められる。
実用面にはAFやO₂センサーを利用する空燃比フィードバックが掛けられ、場所や季節に関わらずエンジン特性を安定させられる。燃料の噴射開始時期が直噴、ポートともに変えられ、ハイチューンでは利点になる。
高度でシンプルな制御
スロットル開閉が自在
いまの純正ECUは、トルクベース制御が主流だ。機械式や以前の電スロのようにアクセルを踏んだ分だけ、適正な比率でスロットルが開いてくれない。ECUが諸条件から開度を加減し、だからときに違和感も覚える。出力向上を狙うと、それを抑える制限も受ける。
シンプルに高度のエンジン制御がこなせるのも5.0の特徴である。根本にトルクベース制御の概念がない。ドライバーの操作主導で電スロが開けられ、狙ったエンジン特性が得られる。マップでアクセル操作と電スロの開閉を1対1に近い比に詰められ、フィーリングを仕上げられるのだ。より過給器も個性を発揮する。ヤシオファクトリーの仕様は好例である。アクセルOFFでのシフトダウンまでしやすくした。
そして、シフトスケジュールが関わる6速ATだ。HKSのデモカーはスロットルの開閉を5.0で整えつつ、ATのコントローラーに送るアクセル開度の情報も5.0の機能で補正し、純正ECUのときと同様の連携が保たれている。GT2スーパーチャージャー仕様で、自在に走れている。
フラットシフト、ローンチコントロール、アンチラグ、点火カット、バブリングと、シフト操作に効く機能も見逃せない。それらの項目も活用しつつ、本格的なチューニングに進むことができる。完全フルコンの発展性は無限大だ。
6MT車のGT4135タービン仕様
クラッチミートからして別次元

ヤシオファクトリーのデモカーで、6MT車にノーマルエンジン対応のGT4135ボルトオンターボキットを搭載。HKSの想定出力は280㎰~ 300㎰だ。

エアフロ制御で設定ブーストは0.5㎏/㎠。ポートインジェクターは高負荷での余裕をもたせるために純正200㏄/分からフューエルアップグレードキットの440㏄/分に交換済み。

本体は純正ECUがあった位置に付属のステーで固定。センサー類は過給器仕様でも低ブーストまでなら純正が使える。セッティングではリアルタイムでマップのアクセスやエンジン情報が見られ、データの書き換えも可能。

乗るとクラッチミートからして別物で、電スロ特有の曖昧な間がなく、スムーズにつながる。アクセルONで3000rpm手前から最大ブーストが感じられ、トルクが盛り上がるが、アクセルを操作した分だけスロットルが同調して開く印象で、どかんと来る激しさはなく、扱いやすい特性だ。空燃比はアイドルが14.7付近、インターセプトすると即11前後に入った。
6AT車のGT2 S/C GTS7040L仕様
過給器の特性がより引き立つ

HKSのデモカーで、6AT車にエンジン回転の上昇に比例してブーストが高まる遠心式GT2スーパーチャージャーPROキットをボルトオン。

吸入リストリクターありでポートインジェクターは純正。Dレンジでの低速のきり返しはノーマル同様で違和感なし。アクセルを踏むと小気味よく変速し、すっとクルマが進む。トルクが高回転に向かうほど強まった。パドルシフトも使える。

空燃比は低域が14.7付近。回転が上がると13、12と濃い方向へ推移。
■エッチ・ケー・エス TEL 0544-29-1235 https://www.hks-power.co.jp/
■ヤシオファクトリー 埼玉県草加市青柳2-4-5 TEL 048-948-7140 https://yashiofactory.co.jp/
Photos/堤 晋一 Text/鈴木 博



