【REVSPEED創刊30周年記念企画】世界に誇る日本のチューニング『ACRE/SPIRIT Performance』編

2020/12/25 17:49

ACRE/SPIRIT Performance

ACRE/SPIRIT Performance

トムスのブランドを引き継ぎ、独立したブレーキメーカーに進化。品質と性能に妥協はないが、多くの人に「いいパーツ」を届けることも使命と考えていて、性能や品質を維持しながら、価格を抑えたブランド展開を実践している


「安くて、使えるものを売っている」そういってもらえるメーカーでありたい

アクレはもともと『トムス』のブレーキブランドだったが、ある縁から別のパーツ製造会社を経営していた志村静雄代表が引き取ることになり、ブレーキメーカーの『株式会社アクレ』が誕生。そして、志村代表は新生アクレに対して『ストリートのユーザーを優先していく』という方向性を打ち出した。そうしたコンセプトのもと、発売されたのが当時のブレーキパッド市場において価格破壊ともいえる『5000円のスポーツパッド』だ。これが峠を攻めている走り屋を中心に大ヒットして、アクレの名前は一挙に広まったのだが、志村代表はその時点でもう先を見ていた。

ACRE/SPIRIT
Caliper

アクレが力を入れているのがキャリパーキット。日本製であること、高品質であることにこだわりながら、手頃な価格で供給しているのが特徴

それらは難題ではあったが、アクレは通常の生産力に加えて試験用の少量生産もできる自社工場を都内に持っているので、工場の能力をフル活用して難題をクリア。軽量車向けの『フォーミュラ700C』と中型車向けの『フォーミュラ800C』を発売したのだ。
このフォーミュラシリーズは、現在もアクレを代表するパッドとなっているが、じつは材料のレシピは当時と現代では多少違うとのこと。
フォーミュラシリーズが誕生した頃は、ABSを効かせながら走るスタイルはない時代だったが、クルマの制御が進化してくると、ABSを上手に使っていく走り方が求められるようになってきた。
そこでアクレはフォーミュラシリーズの特性を残しつつ、ABSが介入したあともドライバーがコントロールできるよう改良した。
こうした変更について志村代表は「フォーミュラシリーズに限らず、すべての製品に自信がありますが、ものづくりに絶対の完成はないと思っています。だから製品化しているものであってもテストや改良は適時行っています」とコメント。

ACRE/SPIRIT
サブタンク式に自信あり

新発売の独自構造サブタンク式キット。特徴はピストンスピードが速い領域の設定がより細かくできること。しなやかさと接地性を両得している

ACRE/SPIRIT
Titanium-Shim

ダイレクトなタッチ感を損なうことなくパッドからの高熱をカットし、キャリパーやフルードの温度を上げない効果がある。ブレーキまわりのニューアイテムだ

ACRE/SPIRIT
Line

フィッティングはスイベルタイプのSUS304材、カシメはプレス圧縮式を採用。さらにホース部はクリアコーティングを施すという高品質なブレーキライン

ACRE/SPIRIT
FORMULA-LIQUID

ドライ沸点338℃、ウエット沸点238℃という高スペックながら1ℓで3500円という低価格設定のDOT5.1規格のサーキット指向ブレーキフルード

そんなアクレがいま、力を入れているのがキャリパー。アルミ鋳造モノブロックタイプとアルミ鍛造ビレットからの削り出し2ピースキャリパーがあり、それらを装着車に合わせて使い分けている。
製法が違うとなると、どちらがキャリパーとして優れているのか気になるところだが、それについては「アクレのキャリパーは高性能を追求する方向で統一しています。そのうえで車種やニーズに合わせて使い分けているので、どれが優れているということではありません」と説明してくれた。
そうした姿勢でつくるキャリパーだが、パッド同様、多くのユーザーの手に届くことが前提だ。設計や製法を小ロット向けに設定するなどで、日本製でありながら、手頃な価格設定を実現している。

ACRE/SPIRIT

ストリートからサーキットアタック用まで幅広くラインアップ。写真は最新のサブタンク付きのSpec-R。乗り心地面でも有利な構造なのでストリート派にも薦めたい

また、キャリパーと同時にサスペンションも手掛けるようになってひさしいが、そちらはハイエンドのユーザー向けと、アクレとは基本方針が違ったため『スピリットパフォーマンス』という別会社とした。そのクオリティと仕様変更の対応力は、全国の有力ショップやプロドライバーからの高い評価に表れている。
そんなアクレだが、取材も終わりに近づいたときに、ふと「変わった会社ですね」といってしまった。

ACRE/SPIRIT
サブタンク式に自信あり

新発売の独自構造サブタンク式キット。特徴はピストンスピードが速い領域の設定がより細かくできること。しなやかさと接地性を両得している

ACRE/SPIRIT
バンプラバーは隠れた逸品

各方面からオーダーが殺到している『減衰力を持つ』バンプラバー。動きを止めるのではなく、ジワッと沈ませる特性で、ロールが深まってからの、もうひと踏ん張りが効く

使用するパーツやオイルも厳選
使用するパーツやオイルも厳選

オーダーを受けてからエンジニアの大川友宏さんが組むスタイル。パーツの品質や性能向上をつねに追求し、オイルもオリジナルブレンドを使用。ダンパーテスターもフル活用

ACRE/SPIRIT

訪ねていけるショールーム

東京都武蔵村山にあるアクレ本社。毎月第2土曜日にはパッド、キャリパー、スピリット製サスキットの無料試乗会を開催。また社屋の一角はスパルコ製レーシングギアのショールームで購入も可能。こちらはアクレの営業時間内でオープン。

アクレ

東京都武蔵村山市学園3-19-1
TEL 042-516-9600
https://www.acre.jp/

スピリットパフォーマンス

東京都武蔵村山市学園3-19-1
TEL 042-516-9550
https://spirit-shocks.jp/






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