BLITZ×SA浜松×A PITオートバックス東雲 「 FL5シビックタイプR/FL1シビック 究極のストリートスポーツ製作プロジェクト」 第2話
BLITZ×SA浜松×A PITオートバックス東雲
FL5シビックタイプR/FL1シビック
究極のストリートスポーツ製作プロジェクト 第2話
左からスーパーオートバックス浜松の鈴木英二さん/BLITの小林潤一さん/織戸 学テスター/A PITオートバックス東雲の田中智己さん
サスキットのリセッティングで快適性アップ
第一段階のパワーチューンで刺激も高まる
BLITZ、A PITオートバックス東雲(以下A PIT)、スーパーオートバックス浜松(以下SAH)による共同プロジェクト。前回はダンパーZZ-RスペックDSC+の暫定仕様とFL5はディレッツァZⅢ、FL1はスポーツMAXX RSとの組み合わせを試乗。
FL5は乗り心地全般、FL1は及第点でありながら、微妙な挙動が改善点に挙げられ、エンジンフィールについては、いずれもノーマルECUで抑えられている中回転域から上でのパワーの高まりが欲しいという話になった。それらの対策を施してきたのが今回で、試乗の舞台にはワインディングも加えられる。
ご意見番は日常ドライブの快適性や乗り心地にすこぶる厳しい織戸 学が務める。ちょっとしたことでも細かく指摘。改善策についても言及。このプロジェクトに欠かせない役割だ
FL5にはバネレートを下げて減衰力も変えた試作を投入
FL5はBLITZのフロントリップスポイラー、フロントダクトライン、リアアンダーディフューザー、リアガーニースポイラーを装着。さり気なくスポーティなルックスとなった。
サーキット寄りの暫定仕様で臨んだ前回のダンパーZZ-RスペックDSC+はバネレートが高く、街中では硬さを感じる場面が幾度かあった。減衰力を弱めれば、ある程度、ソフトになるが、全般に目指す領域とは異なる。今回、バネレートはフロント12㎏/㎜・リア10㎏/㎜から、それぞれ6.5㎏/㎜、6㎏/㎜に下げてきた。ダンパーも減衰力をバネレートに合わせた試作品だ。
タイプRの加速はノーマルでも強烈。そこで、たとえば高速道路の追い越しでリアが沈み、フロントがリフトする際に姿勢を安定させるセッティングをDSC+の機能に盛り込んだ。具体的にはハイウェイモードの活用で、基本の減衰力ダイヤルはフロント28段戻し、リア32段戻しだが、80㎞/hからはフロント18段戻し、リア22段戻しまで減衰力が強まるという仕組み。
FL5は吸排気チューンとパワコンで楽しさを増す
パワー系のファーストステップは吸気系にカーボンエアインテークシステムを装着。車両前面から外気を取り込む構造で、グリルの奥にさり気なく見えるレッドのダクトが洒落ている。
吸気サウンドもターボ車らしい響きに。
排気系ではニュルスペックカスタムエディション(マフラー)を備える。純正同様センター3本出しで、テールの交換も行える。こちらも踏み込んだ際のサウンドの高揚が心地よい。
また、カプラーONで簡単にブーストアップできるパワコンも備え、それら吸排気との組み合わせでは、ノーマルの実測値327.5ps、45.4㎏-mに対して、最大ブースト1.5㎏/㎠時に364.2ps、49.9㎏-mという大幅な変化をもたらした。全域でパフォーマンスが底上げされて、ドライブモードスイッチを『+R』に切り替えると、さらに抜群の相性となる。
乗り心地が大幅に改善。パワコンはコスパ大!
「動きがソフトになって、乗り味はガラリと変わった。スプリングの硬さが顔を出さなくなって、タイプR特有のスポーティなハンドリングを保ちながら、快適性が高まっている。スポーツ走行でピッチングやロールが気になるなら、現状をベースに、よりハイレートなスプリングを試すという手もありだろう」と織戸テスター。フットワークは理想にぐっと近づいた。
思いきって、織戸テスターの助言どおり『半分くらいのバネレート』まで下げたところ、手応えがあり、そこでダンパーの減衰力も見直したという次第。この試作をベースに仕上げ、DSC+のマップ制御にもつなげる予定だ。
エンジンはどうだろう? 「パワコンの威力が凄い。低回転からブーストアップが効いて、ノーマルでは少し大人しくなる中回転域(3000rpm付近)より上のトルクがぐんと増えた。レブリミットまでパワーの伸びもある。約4万円のパーツでこの激変には驚き。吸排気チューンの効果も見逃せないし、クルマの前と後から聴こえてくるスポーツサウンドも爽快。タイプRらしさが増幅されて、五感にぐっとくる仕上がり」とのことで、こちらも好評だった。次に控えるECUチューンでは、より魅力的なトルクカーブに仕上げていく。
RECAROのSR-S アーティフィシャルレザーRed×ウルトラスエード Charcoal Grayを運転席と助手席に備える。シートポジションが低いクルマにオススメのシートで、ホールド性、座った感触、ペダルやシフト、ステアリングの操作性ともによくなった印象
FL1のサスは車高とバンプラバーで詰める
ルーフとピラーをブラックにラッピング。ENKEI Racing GTC02のマットブラックとも調和して、ローフォルムを強調。前回、ダンパーZZ-RスペックDSC+の巧みなセッティングで織戸テスターの評価も高かったFL1だが、SAH鈴木さんは車高とバンプラバーの見直しで、さらに高次元を狙う。
ダンパーとスプリング(フロント6㎏/㎜、リア5㎏/㎜)は標準仕様だが、車高はBLITZの基準値(ノーマルからフロントが29mm低く、リアは45mm低い)に対し、リアのみ10mm高くしている(ノーマル比35mmダウン)。前回からは5mm上げて水平に近づいた。そこにはバンプラバーのリセッティングが仕込まれている。
フロントは軟らかくたわむタイプに換え、リアは標準装備のバンプラバーに『狙ったたわみ方』のバンプラバーを追加して、バンプタッチの仕方を変えた。フロントのストロークを増やし、リアの挙動の収まりをよくする作戦。
FL1に吸気チューンとパワスロ&スロコン制御を施す
低抵抗かつ安定した温度で吸気できるカーボンパワーエアクリーナーを装着。ターボサウンドもより楽しめるようになる。
パワスロでブーストアップを施し、スロコンでアクセルレスポンスもスポーツ指向(ある意味、FL5の+Rモード)に味つけた。ブーストは1.1㎏/㎠から1.3㎏/㎠に。4000rpmで18ps、5800rpmで26psもパワーが高まった。ノーマルの実測値187ps、28.2㎏-mに対し、209ps、32.2㎏-mをマーク。当然、空燃比をチェックしてマージンも確認!
しなやかにストローク! 全域で力強く俊敏に
「前回、段差を通る際のいなしが気になって、リアの車高を上げると、もっと自然になるとアドバイス。対策後の今回はさらに動きがマイルドになった。減衰力は弱い30段戻しから、強い5段戻しまで試したが、すべてにおいてストロークがしなやか。車高の前後バランスとバンプタッチのさせ方で、ダンパーの美味しい領域を巧く使っている感じ」と織戸テスター。
SAH鈴木さんによると「前回はリアの車高とスプリングのプリロードで味つけを行っていたが、どうしても路面の継ぎ目やギャップを越える際、リアに多少ふわりとした動きが残った。そこで、バンプラバーに手を加え、フロントは適度にストロークしやすく、リアはストロークし過ぎないように合わせ込んだ」とのこと。それが功を奏し、路面の追従性がさらに高まったというわけだ。
「エンジンはブーストアップ効果により全域で力強くなった。3名乗車でも坂道をグングン上る。スロコンはモードをSP1やSP2にすると、レスポンスの相乗により、加速感はまさにスポーツカー」というインプレッション。
SAH鈴木さんは「ノーマルの低回転域はレスポンスに優れ、そこに全域約0.2㎏/㎠アップのブーストが掛けられたので、フラットな特性にでき、FL1で改良された純正タービンの長所も引き出せた」とコメント。
ベース車は上級グレードEX。センターコンソールにDSC+とスロコンのコントローラーを置く。運転席のRECARO SR-S ASMリミテッドは内装色や細部に用いられるレッドステッチのラインともほどよく調和
ダンパーの仕様変更とECU書き換えでさらに上を!
FL5もFL1もダンパーZZ-RスペックDSC+のセッティングは『究極のストリートスポーツ』の実現に大きく近づいた。「叶うならダンパーの中身にも手を加え、減衰力ダイヤルの基準値を32段階の20段付近にしたい。先を見据えて、速い入力に対しての減衰力特性まで得られたら理想」と織戸テスター。とくにFL5の減衰力ダイヤルはハードに感じる範囲が広くて、ソフトな範囲が狭い。ブリッツではそこへの対応を検討している。純正ECUの書き換えも行うが、すでにSAH鈴木さんとBLITZでデータの作成が進んでいる。
■BLITZ TEL 0422-38-6330 https://www.blitz.co.jp/
■A PITオートバックス東雲 東京都江東区東雲2-7-20 TEL 03-3528-0357 https://www.apit-autobacs.com/
■スーパーオートバックス浜松 静岡県浜松市中央区小豆餅4-16-1 TEL 053-476-2180
https://minkara.carview.co.jp/userid/592092/blog/
Photos/小林克好,岩島浩樹 Text/鈴木 博