電子制御をフルに味わうために『エボXのメカニズムを活かす』セッティングとメンテナンス 〜ティーズスタイル〜

2023/03/23 15:16

ティーズスタイル 

 

エボXのメカニズムを活かす

セッティングとメンテナンス

 

ストリートからモータースポーツまでエボと向き合ってきたティーズスタイル
エボXで推奨するのは、パッケージングの完成度の高さを活かすコスパ仕様だ

 

 

ストリートチューンドだけでなく、スーパー耐久でもエボと向き合ってきたティーズスタイル。歴代エボを見極めてきたうえで完成度の高いパッケージングと高く評価しているのがエボXで、デモカーのTC-SST車はカスタマーライクなブーストアップ仕様で筑波1分3秒1という好タイムをマークしている。

 

「後方排気の4B11はポテンシャルを追求していくと熱問題がつきまといますし、ノーマルのTC-SSTでスポーツ走行すれば即座に温度上昇でチェックランプが点灯することもあって、エボXは走りのベース車両として敬遠されがちです。しかし、速さを突き詰めるのでなければ酷使されていない車両が大半でコンディションもよいですし、熟成されたモデルらしく電子制御の完成度も高い。安心して走れるように高温領域がカバーできる油脂類さえ使えば、リーズナブルにストリートからサーキットまで楽しめますよ」(棚橋建之代表)

 

 

AYC、ACD、SSTの制御をフルに味わうために

 

電子制御に委ねれば自然と速さが引き出せる

 

 

まずはエボXならではのTC-SSTだが、懸念要素の温度面に関してはノーマルフルードクーラーのままでOKだ。そもそもTC-SSTのフルードにはATFが使用されており、エボⅦ・GT-Aで開発されたティーズスタイルのハイスペックATFが高いマッチングを見せる。30分の連続周回でも温度上昇のチェックランプが点灯することなく走り込めると、デモカーで確認済みだ。

 

 

また、筑波タイムアタック時はパドルでシフトしていたそうだが、切り込んだステアリングに追従しないパドルでシフト操作を意識するなら、サーキット走行を前提としてたシフトタイミングや電スロマップとなるスーパースポーツモードのDレンジでハンドリングに専念するのがベストと考えている。

 

 

なお、棚橋代表がエボXで速さを引き出す要と考えているのはAYC。セッティングの詳細は企業秘密とのことだったが、リアのフワフワした挙動を嫌ってフットワークを硬めすぎたり、車高を落とし過ぎるのは逆効果とヒントをくれている。つまり、可変式L.S.D.となるAYCがスムーズに動作できるセッティングに仕上げつつ、その恩恵が最大限に発揮できるようコースなりにステアリングを切り込んで走らせていくのがベストとのことだった。

 

 

ちなみに、ブーストアップ仕様となるデモカーの4B11は、ピーク値の引き出しよりもブースト特性にウエイトを置いてセッティング。低回転からピックアップよく立ち上げて高回転は負荷軽減のためブーストを抑制するため、スロットル開度や回転数制御が可能なEVC7を使用している。

 

 

このように仕様的にはカスタマー車両と変わらず、デモカーとはいえ特別なことは一切行っていない。電子制御をいかにスムーズに動作させ、そして不安要素である熱をいかに抑制していくか。素材の持ち味を引き出すティーズスタイルのシンプルチューンこそ、エボXの速さを引き出す真骨頂なのだ。

 


速さの軸となるAYCは適正メンテでトラブルフリー

 

エボXだけに限らずポンプトラブルが多いとされるAYCだが、ティーズスタイルではフルード劣化によるスラッジがソレノイドバルブに詰まってトラブルになると考えている。

 

 

「比較的温度上昇は激しくないためエンジンオイルほどシビアに考えなくてもよいが、高性能フルードで車検時などの作業ついでに定期交換しておくのがベスト」と棚橋代表。旋回性を左右する速さのポイントゆえに、しっかり性能発揮できる状態をキープしておきたい。

 

AYCを内蔵するリアデフは熱源となるマフラーが近い。遮熱までは不要だが、高温領域もカバーするフルードを使うと安心

 

無交換でOKと思われがちだが、スラッジによるトラブルを防止するためにも定期的なAYCフルード交換は必須だ

 

TC-SSTと同様にAYCもフルードはATFが使用されている。ティーズスタイルのハイスペックATF&AYCフルードで安心感を得られる

 


AYCを活かすなら足まわりはスムーズに!

 

スポーツ走行で不安定に感じるリアのフワフワとした動きだが、これはAYCによるもの。この挙動を封じ込めようと車高を下げたり、足まわりを引き締めていけば、速く走るための電子制御をスポイルしてしまう。

 

また、キャンバーは走行ステージに応じて最大限につけていくとよいが、トーは要注意。セッティングの方向性は非公開とのことだが、トーをどのように味つけするかによってもAYCが発揮する制御効果は大きく変わっていく。

 

AYCの旋回性能アシストは連続周回で低下していくグリップレベルも感じさせないぐらい優れた電子制御。ただし、スムーズな動きのフットワークが大前提となるため、減衰力やレートは硬めすぎないのがベストだ

 


スーパースポーツモードのDレンジ走行が最強!

 

ティーズスタイルのハイスペックATF&AYCフルードを使用することで、フルードクーラーを追加することなく連続周回が可能となるTC-SST。

 

シフト制御はメインコンピュータでセッティングが可能だが、ティーズスタイルでは余計な負荷を嫌ってノーマルをキープし、これまでパドルによるシフト操作を行っていた。

 

ただ、テストを重ねた結果、ステアリングに追従しないパドルより、高回転シフトでブリッピング機能までも備えているスーパースポーツモードのDレンジが安定して速いと判断。ステアリング操作にへ専念できるため、メリットも多い。

 

ロングパドルでコーナリング時のシフトの操作性を改善したが、それでもパドル位置に意識は削がれていく

 

スーパースポーツモードへ切り替えるとシフト制御だけでなく電スロの応答性も引き上げられる。AYCと同じく、速さを引き出しす際に活用すべき電子制御だ

 


ブーストアップ仕様でも十分速い4B11

 

4B11は後方排気レイアウトがネックとなり、ポテンシャルをアップさせると熱問題がつきまとう。ティーズスタイルではブーストアップ仕様に高温領域が強化されたオリジナルのエンジンオイルを使用し、連続周回でもノントラブルのタフネスさを引き出している。

なお、ポイントとなるのはブーストセッティングだ。スロットルおよび回転制御するEVC7でピックアップよくフルブーストまで立ち上げ、高回転は負荷防止の狙いでブーストダウン。450ps/55㎏-m仕様だが、加速感は数値以上に圧巻。

 

 

■ティーズ スタイル岐阜県岐阜市日野南9-2-21 TEL058-248-5852 https://www.tzstyle-racing.com/

 

 






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