【REVSPEED創刊30周年記念企画】世界に誇る日本のチューニング『Eg magic 井島康之』編

自身の経験をカスタマーにフィードバック
好奇心からのデータ蓄積や技術改良

イージーマジックの井島康之代表は1969年月生まれ。大学の機械科で学んでいたが、カローラのМＴ車やＡＷ11 ＭＲ２、ＡＥ86と乗り継ぐうちに、クルマの機械に興味が移り、中退してタイヤショップに就職した。
「近くの瑞浪モーターランドにはベストモータリングのロケ隊が来ていて、黒沢元治さんや土屋圭市さんの走りをビデオで観て、走りにいっていました。ＡＷ11はピーキーで、その頃、兄貴のＡＥ86に乗せてもらったら、とてもよくて、ＡＥ86に買い替えます。その頃から、ハチロクには好印象を抱いていました」
タイヤショップ時代は、自身のクルマでチューニングをスタート。ＡＥ86のあとはＦＤ３Ｓに乗り、そのあと、もう１度、ＡＥ86に乗り換えている。中学の同級生から10万円で買ったＡＥ86。それがいまのデモカーだ。

いつの間にかサーキット専用車に AE86

AE92後期エンジンベースのメカチューン。MoTeC M4アドバンスロガーで制御。EXマニ、チタンマフラーはオリジナル。サスはエナペタル特注車高調でスプリングはF：ベステックス8kg/mm、R：アイバッハ500ポンドの組み合わせ。リア等長リンク、クスコAアームを備え、ボディはスポット溶接補強。ミッションはルート6クロス。15×7.0JのTE37に205/50R16のADVAN A050を履く。空力パーツはオリジナル

ＥＣＵもいろいろやってみたが、まだこれといったものがなくて、たまたま近くのアートガレージがＭоＴｅＣをやっていたので、買ってみて、覚えることにした。
そして30歳で独立。いまの場所でイージーマジックを立ち上げる。自らサーキットを走っていたので、自然と同じ趣味のカスタマーが増えていった。途中、苦しい時期もあったが、ＺＮ６ 86、アルテッツァ、ＡＥ86などを柱に、多方面から頼られる存在に。
「気になったらたまらないタイプなので、走るたびに何か気になって、試すのも好きなので、トライ＆エラーを繰り返す。でも、結果的に、そこで得たことをカスタマーに還元できればいいかなと思って、やっています」
ＺＮ６ 86はＥＣＵ‐ＴＥKで書き換える。デモカーのドライバーを務める森正行さんの絡みでスーパー耐久車両のセッティングも一時期やっていた。
「アルテッツァも86もＶＶＴをちゃんとやらないと速くならない。その点ではアルテッツァでの経験が下地になって、いまがある感じです」という。

スーパー耐久ST4車両をチューニング 筑波スーパーバトルに連続参戦

2ℓのままバランス取り。ピストンは0.5mmオーバーサイズ。吸排気チューンでECU-TEK制御。オリジナル6速ギア、カーボンプロペラシャフトを奢る。エアロはingsでウイングはVOLTEX。ボディはS耐のレギュレーションを超えた軽量化を施し、サスはアペックスN1ダンパーベース。筑波スーパーバトルは2015年の1′02″166がベスト

サーキットもこなすストリート仕様 ZN6 86後期

ハイカム仕様、オリジナルのアディショナルインテーク、48φ（4-1）EXマニ、ワンオフのチタンフロントパイプ（スポーツ触媒装着）＆マフラーで、ECU-TEK制御。サスはアペックスN1ダンパーベースのオリジナル。フロントブレーキはナシン。17×9.0J 35のTC105Nに255/40R17のA050を履

リアのキャリパーは30セルシオ、ローターはA80スープラの流用。リアスタビ移設ブラケット、バンプステア修正キット、ロールセンターリアメンバーブッシュも装着

足まわりもあれこれ試してノウハウを蓄えている。タイヤはハイグリップだが、太さを欲張らないサイズで、ハンドリングを重視。サスとＬＳＤのメカニカルグリップで接地感を出す方向だ。
いまあるデモカーの中で、２台のＺＮ６ 86は、後期型のナンバー付きが吸排気＋ハイカム仕様の提案で、タイヤも高額な超ハイグリップラジアルを短い期間で消耗させてしまうくらいなら、比較的安い255／40Ｒ17のセミスリックでガンガン走ったほうがいいという考え。筑波スーパーバトルでもお馴染みの元Ｓ耐車両はＮＡメカチューンと安全を確保したうえでの究極の軽量化、そして、それにともなう、軽い86のフットワークチューンの提案だ。
いずれも「もう一歩踏み込んだ世界を味わってみたい」という86ユーザーに刺さるようで、各方面からの相談も増えている。
そんな井島代表は新たな設備投資を間近に控えていた。これまで感覚に頼ってやってきたＥＣＵチューニングだが、シャシーダイナモが導入されるという。さらなる進化に期待が膨らむ。