【REVSPEED創刊30周年記念企画】世界に誇る日本のチューニング『ASM YOKOHAMA 金山新一郎』編
2021/01/06 11:41
- CATEGORY : コラム 創刊30周年記念インタビュー
ASM YOKOHAMA
S2000とRECAROのスペシャリスト。S2000では筑波スーパーバトルをはじめ、タイムアタックに挑戦し続け、効果を確認したパーツやメニューをカスタマーに推奨する。ほかに例がないASMの成り立ち。その歩みとこれからを聞く
求められるものを次々と用意できるからS2000とRECAROに注力できる
金山新一郎さんは1972年、兵庫県生まれ。大学生の頃からクルマが好きになり、オートバックスセブンを就職先に選んだ。
「バブル崩壊で就職戦線にも影響が出始めて2年目ぐらい。しかし、オートバックスセブンは上場したばかりで。バリバリの拡大路線でしたから、同時入社は230人ぐらいいたと思います」という。
「大学も文学部で、教師とか、公務員になりたかったくらいですから、入社した頃は、このままスーツを着て、定年退職を迎えるぜって思っていました」
しかし、転機が訪れる。カー用品以外に新車も売る、中古車も売る、中古カー用品も売るという展開になり、その中古カー用品の事務局をやることに。そして、オートバックスセコハン市場の責任者として、神奈川県藤沢市に赴任。
「乗り気じゃなかったのですが、やってみると面白くて。中古アウトレットが主体ですが、オーディオやナビがやたらと売れました。個人的にスポーツカーが好きなので、その中でS2000のパーツやレカロシートを扱うようになったんです。いまでは考えられませんが、当時のオートバックスではレカロを扱っていませんでした」
筑波スーパーバトルのストリートクラス・レーシングストリートラジアル部門に参戦しているAP2。ドライカーボン製のフロントエアロバンパー04(税別25万5000円)、FRP製のリアエアロバンパー04(税別13万5000円)を備える。17×9.0J 63 のADVAN Racing RSⅡに245/40R17のADVAN A052を履く
セコハン市場の前に『走り屋天国』という名前がついたのもその頃だ。中古だけでなく、オートバックスが扱っていないようなマニアックなパーツを売る店にしようということになり、金山さんはレカロの扱いを強化。無限やスプーンなどのS2000パーツを並べ、専門店風にやり始める。そして、2003年、山野哲也選手を擁して筑波スーパーバトルに初参戦。59秒954で、史上初のNA車両1分切りを果たしたのだ。
「セコハン市場も最盛期を迎え、S2000やレカロに凄くお金を使ってくれるカスタマーの皆様とも親しくなっていきました。しかし、セコハン市場の物件は契約満了が近いことを知っていて、こっそり新たな物件探しを始めたのです。レカロとS2000の2本柱でショップをやれないかと」
それで見つけたのが、現在の横浜の物件だ。常連客の友達の建築設計事務所のオーナーに模型までつくってもらって、社内プレゼンしたところ、OKが出て、ASMの歴史が始まった。
RECAROはお任せ! ASM限定モデルも人気
常時200脚のRECAROを展示。体感コーナーもあり。ASM限定モデルのRS-G ASM LIMITED Rubyは税別15万1000円。サイド表皮はウルトラスエード&パンチングウルトラスエードで、ウルトラスエードはベルトホールの内側にもおよぶ。RECAROロゴはシルバーでヘッドレストと座面、ASMロゴはブラックでバックレストに備わる
FK8シビック タイプR用ドライカーボンボンネット
排熱ダクトは中央(タービン手前)と右側(タービン右斜め後方)に開いている。左側は電装系があるので、あえて開いていない。ボンネット内が濡れない設計。塗装なしは40万円、クリア塗装済みは50万円だ。いずれも税別価格
最初に打ち出したのはパーツやレカロシートの即日取り付けだった。在庫に余裕があればそれができて、お客様も来てくれる。いまも続いているASMの伝統だ。
筑波スーパーバトルは戸田レーシングの紹介で加藤寛規選手を起用。は2006年、57秒398に達し、2007年、2008年も56秒台に入るポテンシャルを備えていた。
「タイムアタックはそのとき自身でいちばんいいと思うものを組み合わせて、やりきるスタイルでした。でも、きりがない。区切りをつけて、2009年以降はラジアルでの挑戦になります。NAエンジンにこだわって、効果があったパーツやメニューをカスタマーにフィードバックしていきました」
そして、現在はナンバー付き車両でストリートクラスのレーシングストリートラジアル部門に参戦。より身近な仕様でS2000オーナーに魅力的な提案を続ける。
TODA製EXマニやSACLAM製サイレンサーキット、G.T WORKSのGENROMやNAG内圧コントロールバルブキット、オートテンショナー&アイドルプーリーキットなどのASMパーツがふんだんに備わる
1.5kgと超軽量のカーボンダッシュボード(税別28万5000円)。エアコン用の通気ダクトや送風ダクトはないが、加工して機能させている
純正形状のドライカーボントランク(税別30万6000円)は鍵穴の移設が可能。Type-Sに採用された補強ブッシュ類も装着できる。リアウイングはType-S純正
ASM ZF 3WAYサスキットを装着。HYPERCOはF:23.2kg/mm、R:25.0kg/mmのバネレート。パッドはZONE 10F。各種補強バーも備わる
さて、ASMに憧れて、打倒ASMを掲げ、2014年から3年計画で、2017年に57秒398のタイムを抜いたプライベーターがいる。2019年はもうひとりのプライベーターが57秒0でさらにそれを更新。金山さんは彼らの活動をうれしく思い、そして、敬意を持ってそれに応えた。同じ2019年のアタック筑波。3台で同一銘柄のSタイヤを履き、1号車でのタイムアタックはこれが終わりと決めて臨む。加藤寛規選手はギリギリいっぱいの走りで56秒875を刻んだのだ。
ASM
神奈川県横浜市中区新山下2-4-7
TEL 045-629-0905
https://autobacs-asm.com
セコハン市場の物件の契約が終わる前に金山さんは現ASMの物件を見つけていた。それを常連客の友達である建築設計事務所のオーナーに見せて、つくってもらった社内プレゼン用の模型。金山さんの宝物だ