【REVSPEED創刊30周年記念企画】世界に誇る日本のチューニング『OS GIKEN』編

2020/12/25 18:05

OS GIKEN

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L.S.D.やクラッチ、クロスミッションやシーケンシャルミッションなど、駆動系パーツを充実させて、ワールドワイドに名を馳せる老舗メーカー。驚くことに駆動系パーツを手掛けた経緯は、オリジナルエンジンのパフォーマンスを引き出すためだった。「ないものはつくればいい」と日々創造に取り組んできた匠の技術者集団をクローズアップする


創業者 岡崎正治スピリットを次世代に
なくなるものを最後までつくれる技術を

パワーアップさせたチューニングカーを速く走らせるために、必要となってくる駆動系の強化。クラッチ、ミッション、LSDといった一連のアイテムで、国内のみならず世界に名を馳せているのが、岡山県岡山市のOS技研だ。その歴史はとても古く、1972年までさかのぼる。
「OS技研といえば、駆動系のパーツメーカーとイメージされる人が多いのですが、創業者である岡崎正治(現在は技術顧問)は当時、駆動系にまったく興味がありませんでした。というのも、OS技研はオリジナルのツインカム16バルブエンジンとなるTC16からスタートしているのです。創業前から高回転・高出力を目指したそのエンジンの開発がスタートし、1975年に市販化。80年には全日本オールスターダートトライアルで、モンスター田嶋伸博選手がTC16‐MAⅡ搭載のバイオレットで総合優勝を果たしています」(何森行治社長)

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TC24-B1Z

名機TC24-B1の復刻要望へ応えるだけでなく、先進技術を注入して革新したTC24-B1Zはチェーン駆動からカム駆動に変えるなど、匠の創造力が注がれる

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クラッチもつねに革新が図られてきた。扱いやすいストリートマスターや超軽量小径タイプなど、仕様変更やワンオフにも対応

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OS-FR7

リングギア一体L.S.D.採用車の増加を踏まえ、インダクションギアでの一次減速を行うFR車向け7速シーケンシャル。タイヤの進化や車重増加に合わせ、発売後も進化を重ねる

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スパイラル形状のサイドギアで、トルク感応型に回転感応型を融合させたデュアルコアL.S.D.は電子制御との親和性が高い注目株

その頃、開発を進めていたのは、6気筒でツインカム24バルブとなるTC24‐B1だ。しかし、いざ走らせようとすると、回転ばかりが上がってクルマは前に進まない。それもそのはず、L28で140㎰という時代にTC24‐B1が引き出していたのは、300㎰という規格外の出力だったのだ。オリジナルエンジンのパフォーマンスを発揮させるために、駆動系パーツへの挑戦が始まった。
「ないものはつくればいいという精神で、滑るからクラッチを強化。滑らなくなってミッション強化が必要になれば、せっかくなのでギア比も最適化しようということになる。すると、今度は、ジオメトリーが悪くてまっすぐ走れない。それならLSDをつくればどうだ……という、そんな流れで駆動系の開発が進んでいきましたが、商売は完全度外視でした」(笑)
膨大な開発費用が投じられたのに対し、名機と評価されたTC24‐B1の販売数は、わずか9基。資金的に廃業もちらつき始めた中で、世間では強化クラッチの必要性が急速に高まっていく。

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「いいものをつくればストリートだけでなくサーキットでも通用する」との考えで、素材から設計まで真摯に開発に取り組む。ユーザーの熱い気持ちに応えるべく、ワンオフ製作も精力的に行っている

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ヘッドやL.S.D.ケースなどは社内で加工し、外部製造に関しても品質や製法にこだわるため、国内生産を貫く。それがオーダーを受けてから発送に至るまでのスピードにも大きく貢献している

「製品化前の最終確認としてクラッチを貸し出していたチューナーが、ストリートゼロヨンでフルチューン車を相手にライトチューンで連戦連勝。あのシャラシャラ音が速さの秘訣だろうと噂が広まり、発売後に注文が殺到しました。また、BNR32がノーマルエンジンでもクラッチが滑ってしまうこともあり、エンジン性能を発揮するために強化クラッチは欠かせないと浸透していきました。余談ですが、第2世代GT‐R向けクラッチは、クルマの総生産台数以上に売れたぐらいです」
そんな歴史からもわかるように、OS技研はモノづくりにこだわる生粋の技術者集団だ。通常、パーツメーカーは手間やコストなどを念頭に開発を行うが、OS技研はユーザーが求めているのにないものを突き詰めてつくる、という開発スタンス。ユーザーの熱い気持ちに技術力で応えたいという想いを胸に、強化クラッチやクロスミッション、スーパーロックLSDだけにとどまらず、トルク感応と回転感応を融合させたデュアルコアLSD、独自構造の7速シーケンシャルOS‐FR7など、新たなアイテムを次々と生み出してきた。
「培ってきた技術、そして岡崎スピリットを次世代へと継承しながら、日常の中でクルマを愛するアメリカのような文化を日本で育んでいく存在になりたい。性能を高めるチューニングパーツはもちろんですが、今後は純正パーツの生廃で悩むユーザーの声に対し、技術力で応えていこうと考えています」と語る何森社長。その言葉を裏づけるように全国各地のイベントを精力的に回っている。

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2019 JCCA富士Fレースでコースレコード樹立&優勝
OKAZAKI SPEED TC24Z

「TC24-B1を復刻進化させたTC24-B1Zのサーキットテスト、そして、軽くて楽しい旧車ならではの魅力を伝えるために、OKAZAKI SPEED TC24ZはJCCA富士Fレースにエントリー。セッティングを重ねて完成度を高めた3年目の2019年にはコースレコード樹立と優勝を果たした

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2021シーズンのJCCAに向けて
サニーエクセレントを新たに製作中!

TC24Zでのコースレコード樹立と優勝を成し遂げたOS技研では、2021年のJCCAに向けた車両としてサニーエクセレントの開発へと着手。当初の構想では510ブルバードも候補に挙がっていたが、軽量ボディにこだわった。若手社員によるプロジェクト

また、その活動はすでに始まっており、旧車用のさまざまなパーツを製造している。TC24‐B1Zも、すでに元祖TC24‐B1を超える販売数だ。さらに、主力製品のLSDやクラッチも小回りの利く対応でシェアを伸ばしている。OS‐FR7もタイムアタッカーの需要が日増しに高まっている。
クルマの電動化が進み、駆動系パーツはいつの日か、消え去る運命かもしれない。しかし、OS技研は最後まで必要な人に応えてくれるに違いない。

オーエス技研

TEL 086-277-6609
https://osgiken.co.jp/






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