【REVSPEED創刊30周年記念企画】世界に誇る日本のチューニング『BRIDE』編
2020/12/25 17:55
- CATEGORY : コラム 創刊30周年記念インタビュー
BRIDE
クラフトマンシップで不可能を可能に!
2018年からの新世代シリーズで大攻勢
1980年代、ジムカーナが全盛だった頃、中部の地区戦を訪れた高瀬嶺生代表は愕然とする。約200台のエントリーの中でブリッドシートの装着車は1台のみだった。しかも、バケットシートではなく、リクライニングタイプが備わっていたのだ。
2018年より展開中のXEROシリーズはヘッドガード付きのフルバケットシート。競技専用のRS、車検対応ながらモータースポーツ需要の高いCS、乗降性に優れた人気モデルのVS、包み込む形状で長身/大柄ドライバー向けのMSというラインアップ。すべてFIA公認モデルだ
それから約10年後、国内のジムカーナとダートトライアルにおけるシェアはナンバーワンに。同時にさまざまなカテゴリーでシェアを高めていく。シートに特化して、土屋圭市さんをはじめ、ドライバーとの接点を増やしながら製品展開を進めていった結果である。
車検対応に加え、FIA公認取得にも早い段階からトライしていた。多額の費用が掛かるそれは、いまさら新規参入が難しいところでもある。そして、順風満帆から一転、リーマンショックで売り上げが大幅にダウンしたときもシート以外には手を出さなかった。
特別大きくもなく、小さくもない市場において、ブリッドの強みは「組織が小さくて情熱があること」と高瀬代表は語る。それによって、「お客様ファーストを貫ける」「シートとレールとの一体開発ができる」「生産効率の悪い少量多品も叶えられる」というのだ。
フルバケットシートの主力モデルはZETAⅣとZIEGⅣ.いずれも車検対応、FIA公認モデル。プレミアム系のedirbシリーズは次期モデル開発中
日本のカスタマーはシビアで鍛えられるが、ひとつひとつを手づくりでやっているからこそ、細かく対応できて、品質を上げられたという。そして、それは、「細かく調整できて最適なドライビングポジションが取りやすい」「さまざまなシートチューニングが可能」といったブリッド製品の特徴にも結びついている。
「同じことと深堀りしていくので技術が進化する。そこで大切なのは職人で、ウチは開発も製造も職人技でやるけれど、職人は量産ができないから、量産するものをやってはいけない。また、職人を育てる文化も必要。手先が器用な人の集合体で成り立っているのがシートづくり」と高瀬代表は語る。
リビング/オフィス/テレワーク/e-sports
トラック/バスなどマルチに展開!
MULTI CASTER PROはBRIDEシートや一部の純正シートを室内で活用する提案。コンフォート系のedirb 032/110、EUROSTERⅡ/STREAMS、2シーター専用のA.I.R.やクラシックスポーツ用のHISTRIXなど、各種シートとの組み合わせは写真のとおりだ。ZASITZはその座椅子バージョンだ。いずれも品質、使い勝手にこだわった意欲作。ZAOUはトラック/バス用で長距離運転や頻繁な乗り降りに配慮した設計。運送会社やバス会社にも浸透している
フルバケットシートは2018年後半から新世代モデルの大攻勢が始まった。ヘッドガード付きはXERO RS/CS/VS/MSと続き、従来からの主力モデルはZETAⅣ、ZIEGⅣにフルモデルチェンジがなされた。すべてFIA公認モデルであり、剛性面やホールド性、最適なドライビング姿勢の取りやすさなど、性能面で大幅な向上を果たしている。
サーキット&ストリート両立派に人気のリクライニング機構付きバケットシートも、まず、STRADIAⅡがSTRADIAⅢに進化する。詳しくは今号100ページに掲載しているが、新世代モデルの技術を導入し、満を持しての登場となる。そして、その後もニューモデルラッシュは続くだろう。
フォーミュラカーのシートチューニング、トラック/バス用シートのZAOUや室内用アタッチメントのマルチキャスター・プロ、ザシッツ、スタジアム用シートなど、進出分野も広がっている。今後を見据えての動きだ。
STRADIAⅡ
→STRADIAⅢへ
リクライニング機構付きバケットシリーズの人気モデルであるSTRADIAⅡはSTRADIAⅢへのモデルチェンジが間近。こちらも新世代モデルに移行する
コロナ禍においてもブリッドは国内、海外ともによいカタチで推移している。「趣味性の高いものは意外と強い」というのが高瀬代表の分析だ。よいもの、欲しいものにはお金を出すのだろう。
「チューニングやスポーツドライビングの市場は広いとはいえないけれど、確実にカスタマーがいて、いろんなニーズが生まれている。そこに、シートメーカーとして、多岐にわたって、よいもの、欲しいものを用意する必要があると睨んでいるが、それには、いい意味で町工場的な当社の強みが活かされる。そして、それらのニーズをつかみ、応えていくためにも、社内にデザインセンターを設け、社内・社外を含めて、わくわくする会話の中から設計に入れる環境をつくりたい」と高瀬代表は語る。
ブリッド
TEL 052-689-2611
http://bride-jp.com